先月31日、両足を骨折した当時3歳の次女を放置した保護責任者遺棄の疑いで、春日部市の無職、長野奈々容疑者(31)が逮捕された。

虐待容疑の母親 同居の男は”自殺”

娘の名前は、沙季ちゃんといい、去年12月29日に意識不明の状態で、救急搬送されたが、まもなく死亡が確認された。沙季ちゃんの頭から足にかけ、複数の箇所に、古いあざや新しいあざが残っていたという。沙季ちゃんは両足の大腿骨が折れていて、骨折は、暴行によるものとみられている。

送検される長野奈々容疑者(31)(今月1日 草加署)
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長野容疑者は、沙季ちゃんが死亡した翌日、交際相手の男(37)とともに、暴行の疑いで逮捕され、ことし1月に傷害罪で起訴されていた。

逮捕からおよそ5か月がたった先月31日、虐待の「本丸」に迫るべく、埼玉県警は、再逮捕に踏み切ったわけだが、この間、3月19日の未明に、交際相手の男は、勾留中だった春日部警察署の留置場で首を吊って死亡している。

「彼氏できたよ」パーティーで知り合った2人

長野容疑者は、事件当時、さいたま市内のカラオケ店で働いていた。春日部市の自宅には、長女と次女の沙季ちゃん、そして交際相手の男と住んでいた。長野容疑者には夫がいたが、2019年9月ころから別居していたという。

長野容疑者。男と出会ってから”変貌”したのか・・・。

取材に対して知人は、長野容疑者について「基本的におとなしくて、とても子どもに手をあげるような人間には見えない」と語る。人見知りの一方で、好きなお酒を飲むと、はしゃぐ一面を見せていたようだ。

そんな長野容疑者と交際相手の男の出会いは去年7月、千葉県内の住宅で定期的に行われているという、ある「パーティー」でのことだった。40人ほどの男女が参加したこのパーティーで、長野容疑者は、知人に伴われ参加した男と知り合ったという。

当時、2人が仲良さそうに話している姿や、LINEを交換している様子が、パーティーの参加者に目撃されている。この日からまもなく、2人の交際がスタートしたとみられている。長野容疑者は、「彼氏ができたよ」とうれしそうに知人に語っていたそうだ。そして、その年の11月下旬、長野容疑者の家に、男が転がり込んできたという。

現れた元競輪選手の男 そして”虐待が”・・・

関係者によると、スポーツ一家に生まれたというこの男は、元競輪選手で、カスタムが施されたスポーツタイプの高級外車を乗り回していたという。結婚もしていたとのことだが、男は、「妻がいたが、夫婦関係がうまくいかず、財産分与をめぐってもめている」と周囲に漏らしていたという。

元競輪選手の男が、家に来てから、沙季ちゃんへの虐待が始まったとされる。

沙季ちゃんへの虐待が始まったのは、男が長野容疑者と同居を始めた去年11月下旬以降とみられている。それまで沙季ちゃんは、元気に保育園に通っていて、アザなど虐待の兆候は確認されていなかった。しかし男の同居後、突如として保育園に通わなくなる。

2週間放置された末 3歳女児は息絶えた

少なくとも12月中旬ごろまでには、沙季ちゃんは両足の大腿骨を骨折したとみられ、そこから死亡する29日まで、必要な医療措置を受けないまま、およそ2週間にわたり放置された。

そして、骨折してまともに歩けない状態の沙季ちゃんは、顔をビンタされ、髪をつかんで引っ張られ、突き飛ばされるなどしたという。司法解剖の結果、死因は脳損傷と判明。突き飛ばされるなどした暴行の末に、頭を強く打ったことが致命傷になったとみられている。

両足を骨折した沙季ちゃんは、自宅に、2週間放置され、息絶えたという(埼玉・春日部市)

最初の逮捕容疑である暴行について、長野容疑者らは、「しつけのためだった」などと容疑を認めていたが、今回の「放置」については、「骨折や歩けなかったことは知らなかった」などと容疑を否認している。

男との同居からおよそ1か月で、最悪の結末に至ったこの事件。男は、自ら命を絶ったとみられているが、だからと言って、この男が”やったこと”が許されるワケではない。県警には、男の暴行実態を含めた、沙季ちゃん死亡の経緯の解明が求められる。

(フジテレビ社会部・埼玉県警担当 金子聡太郎)

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