「ねこくん!」としてゲーム実況を行い、登録者数94万人以上を誇る人気ユーチューバー、西川雄大被告(22)が、コカインや大麻を所持していた罪に問われた裁判の初公判が、10日、東京地裁で開かれた。

コカイン入りバッグを飲み屋に置き忘れ

黒のスーツにグレーのネクタイ姿で出廷した西川被告は、裁判官から起訴内容に間違いがないか問われると「いえ、間違いないです」とはっきりした声で答え、起訴内容を認めた。

逮捕・送検された際の西川雄大被告(22)(先月 池袋署)
逮捕・送検された際の西川雄大被告(22)(先月 池袋署)
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事の発端は、今年3月11日。東京・新宿区歌舞伎町で、西川被告の友人が職務質問を受けたことだった。友人が持っていたルイ・ヴィトンのクラッチバッグから、コカイン約1.2グラムが見つかり、この友人は逮捕された。

しかし、このコカインの入ったクラッチバッグは、実は西川被告のもの。飲み会の途中で売人からコカインを購入した西川被告が、コカインが入ったクラッチバッグを店に置き忘れたまま、帰宅してしまったという経緯があったのだ。

出頭時のリュックに まさか大麻が

その1週間後の3月18日、西川被告は池袋警察署に出頭し逮捕され、その後、麻薬取締法違反の罪で起訴された。驚くのは、出頭してきた際、西川被告が持っていたリュックサックの中から、大麻約10グラムが押収されたことだ。初公判で行われた被告人質問の中で、西川被告は次のように答えた。

弁護人:自ら出頭することを決めたんですか?
西川被告:はい。
弁護人:どうして?
西川被告:関係のない友人を巻き込んでしまった罪悪感で出頭することを決めました。
弁護人:なぜバッグに大麻が入っていたんですか?
西川被告:引っ越す際にリュックに入れたものを忘れていて、そのまま出頭したということになります。
弁護人:気付かなかった?
西川被告:気付きませんでした。
弁護人:いつ入れたかも分からない?
西川被告:はい、そうです。

リュックの中に大麻が入っていることを忘れていた西川被告。そのリュックを持って警察署に出頭したという。
リュックの中に大麻が入っていることを忘れていた西川被告。そのリュックを持って警察署に出頭したという。

検察側の冒頭陳述などによると、西川被告は約2年半前に売人から入手した大麻を、引っ越しの際にリュックサックに入れたまま保管。大麻が入っていることを忘れ、そのリュックサックを背負って警察署に出頭し、所持品検査で発見されたというのだ。なんとも“あきれた”犯行態様だ。

合わせて3つの薬物事件で起訴

さらに、捜査の過程で、西川被告が、引っ越しの際、当時、友人らと住んでいたアパートのクローゼットに、たばこの箱に入った大麻を置き忘れたことも判明。大家らに見つかり、通報されていたというのだ。

結局、西川被告は、”ルイ・ヴィトン”のコカインに加えて、”リュックサック”の大麻と、”置き忘れた”大麻の合わせて3件で起訴され、裁判を受けることになった。

裁判には情状証人として西川被告の父親が証言台に立った。この日のために、地元・滋賀県から上京してきたという父親は、親としての複雑な胸の内を明かした。

涙を拭う父親 ”稼ぎ”を答えない息子

弁護人:どんな子でしたか?
父親:幼少期から明るく前向きで友達や家族思いの子でした。
弁護人:どうして事件を起こしてしまったと思いますか?
父親:魔が差してしまったとしか思えません。
弁護人:監督が行き届かなかったと思うことは?
父親:あります。コロナ禍ということで3年間出向けなかったことを悔やんでいます。

父親は西川被告と目を合わせることなく傍聴席に戻り、ハンカチで涙を拭う様子も見られた。

法廷では、西川被告の父親が証言台に立ち、涙を拭う場面も。
法廷では、西川被告の父親が証言台に立ち、涙を拭う場面も。

裁判の中で、19歳から大麻を使い始めたと明かした西川被告。動機については「最初はどんなものかとの好奇心でした」としたうえで、「日々の仕事のストレス、生活環境が昼夜逆転してしまったりのストレスが原因だと思っています」と述べた。

ただ、反省した様子で淡々と答える一方で、検察官から薬物の購入金額や収入について聞かれると、あいまいな答えが目立った。結局、検察官から追及された末に、「会社に入ってくるお金は、月に平均200万円から300万円ぐらいです」と打ち明けた。

大麻を”入口”にして、コカインへ。高額で取引されるコカインは、”お金持ち”が乱用し、摘発されるケースが多い。そのため「セレブドラッグ」とも呼ばれている。まるで、西川被告が置かれている現状を物語っているようだ。

深く一礼「本当に申しわけありませんでした」 

裁判官:医療機関に相談したりはしていませんか?
西川被告:していません。
裁判官:それは何で?
西川被告:時間がなかったということもあるが、裁判など自分のことで精いっぱいでした。
裁判官:2種類の薬物を年単位で使っていて、使った理由はストレスなど世の中にありふれたもの。これは、一度触れてしまった薬理作用による欲求と考えられる。それを依存というんです。一度医療機関に相談してみたらいかがですか。
西川被告:相談してみます。ありがとうございます。

検察側は、西川被告に対して、懲役2年6カ月などを求刑した。
検察側は、西川被告に対して、懲役2年6カ月などを求刑した。

検察側は「約100万人近いチャンネル登録者数を誇り、一般に与える影響は決して少なくなく、若者などが薬物に手を出すきっかけを作る可能性すらある」と指摘、懲役2年6カ月、コカイン4袋、大麻19本の没収を求刑した。

最後に、西川被告は「この場を借りて、迷惑をかけた方々に謝りたいと思います。今回は本当に申し訳ありませんでした。」と深く一礼し、裁判は結審した。

今や「小学生のなりたい職業ランキング」1位ともいわれるユーチューバーによる薬物事件。多くの人に見られ子ども達から憧れの存在となっていることを自覚し、より厳しく自らの行動を律することが求められる。判決は今月16日に言い渡される。

(フジテレビ社会部・司法クラブ 松川沙紀)