旧暦の正月にあたる「春節」の大型連休が、中国をはじめアジア各地で始まった。福岡にも大勢の観光客が訪れている。
「ラーメン!取り敢えずラーメン」
2025年1月25日の福岡空港国際線ターミナル。到着ロビーには春節の連休に先がけ、一足早く福岡に降り立った中国人観光客の姿が多く見られた。「ラーメン。取り敢えずラーメン!」「美しい景色!」「温泉!」とキャリーバッグを転がしながらもハイテンションだ。

中国の春節の大型連休。これまでも九州の玄関口となる福岡に、いわゆる“爆買い”や“爆食い”などで、多くの経済的恩恵をもたらしてきた。中国政府によると2025年は、1月14日から2月22日までの40日間で、延べ90億人が移動するとみられていて、過去最多となる見通しだ。

外国人観光客に人気の商業施設では、インバウンド向けのキャンペーンに余念がない。キャナルシティ博多では春節の期間中、外国人観光客へのおもてなしを強化するキャンペーンを実施している。館内の店舗で1万円以上購入したレシートとパスポートを提示すると館内で使えるクーポンなどがもらえるのだ。
商業施設での予算は「20万円!」
春節期間中は外国人観光客の来館が通常より1.5倍ほど増えるというキャナルシティ博多。中国人観光客に予算を尋ねると「20万円くらい」だという。

コロナ禍を経て買い物の傾向にも変化が出ているという。キャナルシティ内のスポーツ用品店で話を聞くと「“指名買い”というか『このブランドが欲しい』という問い合わせが多い。一世代前の“爆買い”みたいな傾向ではなくて、自分が欲しいものを買っていく傾向が見られる」(『Alpen FUKUOKA』新井善行さん)ということだ。

2025年の春節も活発な消費活動が期待されるなか、北九州市の小倉城では甲冑を身に付け日本の歴史を体感する中国人観光客の姿がみられた。小倉城では日本古来の衣装の試着や流鏑馬など体験型のアクティビティーに力を入れているという。
中国人観光客の「変化」とは
インバウンドの動向に詳しい『インアウトツーリズム研究所』の帆足千恵さんは「今や90パーセント以上が、個人旅行スタイルで福岡に来ていますので、買い物は当たり前。買い物プラス『そこでしかできないことを体験したい』という方が多くなっています」と体験型の施設が人気を集める背景として中国人観光客の変化を指摘する。

最近は団体旅行ではなく個人旅行がほとんどで、それぞれの趣味、趣向が反映されるかたちになっているのだ。従来のトレンドだった爆買いなどの“モノ消費”から、個人が興味を持つ自然や文化を体験する“コト消費”へとシフトしているという。

世界での『大消費』が見込まれる春節。日本人気はデータにも表われている。中国に住む6千人以上を対象にしたアンケートで2025年の春節期間、人気の旅行先1位は日本。”近く”て”安い”せいか、実に4分の1が「日本に行きたい」と答えている。日本での旅行の目的は、1位がグルメ。2位が温泉で、“爆買い”ではなく日本らしさの体験という“コト消費”を求めている。

述べとはいえ、実に90億人もの中国人の大移動が見込まれる春節。福岡でもトレンドの変化に対応し、インバウンドを取り込めるかが注目される。
(テレビ西日本)