高知県内では、新型コロナの重症者の割合は減りつつあるものの、これまでにない若い世代の重症者が増えてきている。その特徴や予防方法について、コロナ治療の最前線に立つ近森病院の医師に聞いた。

目立つ若い世代の“症状悪化”

高知県内では、8月以降に重症・中等症になった75人のうち、約3分の2が50代以下だった。

このうち20代の3人が重症、10代の1人が中等症と、若い世代での症状悪化が目につくようになってきた(9月7日現在)。

 
 
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軽症・中等症・重症は、それぞれどんな症状があるのかをまとめた。

「軽症」は発熱や咽頭痛、または咳のみで、呼吸困難ではない人など。

中等症は、段階によって2つのレベルに分かれている。呼吸困難や肺炎の症状が見られる場合は「中等症I」、血液中の酸素が少なくなってくると、酸素投与が必要になる「中等症II」となる。

そして、さらに悪化して人工呼吸器が必要になったり、ICU(集中治療室)での治療で大量の酸素投与が必要な場合に「重症」と診断される。

基礎疾患なし・20代患者が重症の一歩手前に

高知市の近森病院では、中等症や重症の患者を受け入れている。

デルタ株の感染が拡大した8月以降、より重症に近い中等症IIの20代が1人、30代と40代がそれぞれ3人入院した。

近森病院(高知市)
近森病院(高知市)

これまで重症化しやすいと言われていたのは、糖尿病や呼吸器疾患など基礎疾患がある人や、喫煙していたり肥満がある人などだ。

重症者の病室(提供:近森病院)
重症者の病室(提供:近森病院)

しかし、治療にあたっている感染症内科部長の石田正之医師は、これまでとは違う傾向が見られるという。

近森病院 感染症内科部長・石田正之医師:
重症化のリスクになるような、例えば肥満があるとかタバコを吸っているとか、そういうことが全くない、普段であれば健康な人が増えているのは間違いない

近森病院 感染症内科部長・石田正之医師
近森病院 感染症内科部長・石田正之医師

実際に20代の患者が、重症の一歩手前まで悪化した。その肺をCTスキャンした画像を見ると、健康な人の肺と比べて肺の中が、広範囲に渡り白くなっているのがわかる。

近森病院 感染症内科部長・石田正之医師:
うっすら白くなっている部分は全部、肺炎の場所。下の方にいくと、ほとんど全てがこんな感じで肺炎像が出ている状況

この患者には、症状悪化の原因とされる基礎疾患や喫煙歴、肥満はなかった。

近森病院 感染症内科部長・石田正之医師:
若くて基礎疾患もない患者さんで、コロナに感染しても、ここまで悪くなるのはあまりなかったです

肺を守り重症化を防ぐ“うつぶせ”

石田医師によると、発症してから重症になるまでの期間は多くの場合、7日から10日とされている。この期間に、重症化を防ぐある有効な手だてがあるという。

入院患者の診察(提供:近森病院)
入院患者の診察(提供:近森病院)

近森病院 感染症内科部長・石田正之医師:
腹ばいの状態ですね。あお向けではなく“うつぶせ”。けっこう長い時間(1日8時間以上)すると、重症化を防げるというデータが出ています

近森病院 感染症内科部長・石田正之医師
近森病院 感染症内科部長・石田正之医師

近森病院 感染症内科部長・石田正之医師:
人間の肺というのは、背中側の方が一番、酸素やガス交換のやり取りをするのに重要。(ずっとあお向けだと)背中側の方に炎症の物質が集まって、それで肺が壊れてしまう

近森病院では、人工呼吸器を付けている重症の患者に対し、1日に最低8時間以上うつぶせにさせていて、この方法が少しでも肺を守ることにつながるという。

自宅療養の方は、少しでも体調に異常があれば、保健所から伝えられた連絡先に連絡をすることが大切だ。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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