兵庫県尼崎市は、全市民46万人の個人情報が入ったUSBを紛失したと発表した。紛失したのは業務委託先の従業員で、酒を飲んで路上で眠り込んだ後、USBが入ったカバンをなくしたという。

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個人情報の取り扱い、作業後の行動に問題

全市民46万人の個人データ紛失。前代未聞の知らせに、尼崎市民は「考えられへんね」「不安はあります。知られたくないことばかりだから」と不安をあらわにした。

なくなったのは、全尼崎市民のデータが入ったUSBメモリーだ。市から新型コロナの給付金業務を委託されていた会社の関係先の40代男性社員が、21日に紛失した。USBメモリーには、約46万人の名前や住所、生年月日、さらに住民税の額や生活保護の受給に関する情報が含まれていた。あってはならない事態を受け、23日、稲村和美市長は「市民の皆様にも大変ご心配をおかけしておりますことを、心からおわび申し上げます」と謝罪した。

市民の個人情報は、32GBのUSBメモリーに入っていた。しかし、業務を委託された会社は、USBメモリーで個人情報を持ち運ぶ許可を市から得ていなかった。さらに、40代男性の作業後の行動にも問題があった。委託会社は23日の会見で「(作業後にデータを)消去しないだけではなくて、そのUSBを持ち歩いて、飲食をして結果的にそれを紛失してしまった」と説明した。

データの移管作業のため、USBメモリーをカバンに入れて市の施設から持ち出したという40代の男性。作業を終えて、居酒屋で酒を飲み、帰宅する途中にカバンを紛失したという。委託会社は「飲食店を出る時は、かばんを持っていることを認識していた」と説明し、どこかで寝ていたのかという記者からの問いに「深夜2時、3時あたりまで(寝ていた)」と答えた。40代の男性は泥酔し、午後10時半に店を出ると、午前3時ごろまで路上に寝ていたという。

メルカリに“偽USB”出品

23日午後、「尼崎のUSBメモリー」という商品がフリマアプリ「メルカリ」に出品されていたことが分かった。これは、尼崎市がUSBを紛失したことを発表した後に出品されていたもので、価格は45万2600円(税・送料込み)だった。設定された価格は尼崎市の人口と同じで、出品者の欄にはローマ字で「Amagasaki」と書かれていた。

これを受け、尼崎市は「(なくなったUSBは)写真のものとは違うものだと確認して、メルカリに削除依頼をした」と明らかにした。悪質ないたずらとみられるこの出品は、現在は削除されている。尼崎市によると、このいたずらを模倣する例も確認されているという。

「メルカリ」に出品された偽USB(※削除済み)
「メルカリ」に出品された偽USB(※削除済み)

46万人の個人情報が入ったUSBメモリーは、どこに消えたのか。USBメモリーにはパスワードが設定されていて、これまでに個人情報の外部への漏えいは確認されていないという。

(「イット!」6月23日放送)