家電製品や生活雑貨などの公式通信販売サイトを装った「偽サイト」で商品を注文してしまったなどの相談が増えていることから、消費者庁が「アイリスオーヤマ」と「BRUNO」の2社の「偽サイト」について注意を呼びかけた。

見分けるのが難しい偽サイト 被害最高額は約13万円

消費者庁によると、家電などを扱う「アイリスオーヤマ」と、生活雑貨などを扱う「BRUNO」の偽サイトに関する相談が、2021年4月から2022年2月20日までで合わせて1436件寄せられている。

アイリスオーヤマは1362件で、そのうち代金を支払ってしまったのが207件。被害総額は、約291万5000円。BRUNOは74件で、そのうち支払ってしまったのが6件。被害総額は、約10万7000円。

被害最高額は、アイリスオーヤマの偽サイトで、冷蔵庫・掃除機・電子レンジをまとめて購入した12万9800円。

アイリスオーヤマ 左が偽サイト(提供:消費者庁)
アイリスオーヤマ 左が偽サイト(提供:消費者庁)
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偽サイトは、外見は公式通信販売サイトのようで、「公式」と表示しているサイトや公式ロゴマークを使用しているサイトもあり、さらにURLまで“公式っぽい”ものもあるため、一見しただけでは偽サイトと気がつくことは難しい。

アイリスオーヤマの偽サイトは、公式通販販売サイト「アイリスプラザ」から画像を盗用するなどしており、会社概要ページには、無関係の会社名と住所が表示されており、虚偽の代表者名が表示されていた。

アイリスオーヤマ偽サイトの会社概要(提供:消費者庁)
アイリスオーヤマ偽サイトの会社概要(提供:消費者庁)

BRUNOの偽サイトでも、公式通販販売サイト「BRUNO online」から画像を盗用するなどしており、会社概要ページには架空の会社名が表示されているが、住所と代表者名は公式サイトと同一のものが表示されていた。

BRUNO偽サイトの会社概要(提供:消費者庁)
BRUNO偽サイトの会社概要(提供:消費者庁)

2社の偽サイトでは、トップページに「全品50%OFF」などと表示されている。
商品ページでは、割引前の価格と販売価格を併記し、通常の販売価格と比べて約5割引~約7割引で販売しているかのように表示されている。

アイリスオーヤマ 左が偽サイトでの価格表示(提供:消費者庁)
アイリスオーヤマ 左が偽サイトでの価格表示(提供:消費者庁)

特徴は“クレジットカード決済限定”など

「安く買える」など消費者の購買意欲をあおり、サイトも巧妙なつくりで見分けがつかないように見える。本物そっくりな偽サイトを見分けるポイントはあるのだろうか?また、偽サイトで購入してしまった場合、どうすればよいのだろうか?

消費者庁の財産被害対策室に話を聞いた。

ーー「偽サイト」は、どうやると出てくる?

検索サイトで「アイリスオーヤマ」や「ブルーノ」、「ホットプレート」などブランド・商品名を検索すると表示されるリスティング広告(検索連動型広告)の中に、偽サイトへのリンクが表示されることがあります。

アイリスオーヤマ 左が偽サイト(提供:消費者庁)
アイリスオーヤマ 左が偽サイト(提供:消費者庁)

ーー「偽サイト」に特徴はある?

1つ目は、URLです。公式サイトとURLまでよく似ています。
2つ目は、通販サイト全般に言えますが、価格です。実態の価格にに比べて格安の販売価格が表示されています。
3つ目は、支払い方法。支払い方法が、クレジットカード決済のみであることです。


ーー偽サイトはどのくらいあるの?

合計で40件確認しています。
アイリスオーヤマで30件、BRUNOでは10件。
過去の例からすれば、今後増える可能性が考えられます。

BRUNO 左が偽サイト(提供:消費者庁)
BRUNO 左が偽サイト(提供:消費者庁)

女性からの相談件数が多い

ーー購入してしまった場合、どうなる?

決済された場合、荷物が届かないです。
今回、何名かの方には、注文したものと違う安物の指輪が届いていたことを確認しました。


ーー相談する人に共通している点はある?

女性からの相談件数が多いことです。

アイリスオーヤマの場合は、相談件数1362件に対して、949件、約69%が女性からの相談です。
一番多い年代が40代で368件、そのうち女性からは259件。次が50代で362件、そのうち女性からは255件。続いてが30代です。

BRUNOの場合は、相談件数74件に対して女性からの相談は約85%の63人でした。
一番多い年代が40代で29件、そのうち女性からは24件。次が30代で16件、そのうち女性からは14件。続いてが50代です。

提供:消費者庁
提供:消費者庁

ーー「偽サイト」を見分けるポイントを教えて

異常に安いということと、支払い方法がクレジットカード決済のみ。
この2つは注意した方がいいです。

今回確認した偽サイトでは、50%から70%オフと表示されていました。
また、普通は着払い、振込などと支払い方法を選択できるが、クレジットカードのみというのは偽サイトの可能性が高いです。要注意してください。

偽サイトを見分けるポイント(提供:消費者庁)
偽サイトを見分けるポイント(提供:消費者庁)
BRUNO 偽サイトの価格表示(提供:消費者庁)
BRUNO 偽サイトの価格表示(提供:消費者庁)

日々手口が巧妙化している偽サイト。サイト名を検索すると出てきてしまうというのは要注意だが、販売価格が半額など、買いたくなるような割引がされている場合や、クレジットカード決済のみという場合は、代金を支払う前に慎重に確認したほうが良さそうだ。

アイリスオーヤマの公式サイト「アイリスプラザ」では、偽サイト一覧が紹介されており、BRUNO公式サイト「BRUNO online」では、偽サイトの特徴・代表例が紹介されているため、不安な人は確認してほしい。
 

相談窓口の案内(提供:消費者庁)
相談窓口の案内(提供:消費者庁)

そしてもし、被害に遭った場合は、消費者庁の相談窓口「消費者ホットライン」(電話番号:188)に相談してほしい。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。