韓国では2022年3月の大統領選に向け、各候補者の中傷合戦が早くもエスカレートしている。

この中で日本が相手に対する悪口の道具に利用されている。

日本にとっては、はた迷惑な新論争。そこに今ある変化が起きている。

FNNソウル支局・熱海吉和記者「日本でも自民党総裁選が今注目されていると思いますが、韓国でも2022年3月の大統領選挙に向けて候補者の争いも激しくなってきているんです。そんな中、選挙とは直接関係のない日本がなぜか言い争いの中に頻繁に登場している。8月には野党の有力候補である崔在亨前監査院長のひいおじいさんが、日本統治時代に日本政府の機関である朝鮮総督府の機関紙で働いていたという事実をライバル陣営の与党議安敏錫議員が持ち出して『祖先が親日派だ』と発言した。これに対して崔在亨前監査院長は祖先の問題を政治に持ち込むのであれば、日本統治時代に行政機関に勤めていた文在寅大統領の父親も親日派だと反撃した。そもそも韓国における親日派とは日本に友好的な人を意味するわけではなく、日本の統治時代つまり戦前の日本に協力した人を指す。戦前の日本は悪の象徴で親日派は国を売った売国奴として扱われる。ライバルに対して親日派のレッテルを貼るということは、相手をおとしめる非常に有効的な攻撃手段として選挙のたびに繰り返し使われてきた手法。過去に李明博元大統領(日本名・月山明博)が親日派とされていた。李明博元大統領は韓国が独島として不法占拠する島根県の竹島に韓国の大統領として唯一上陸し、天皇陛下に謝罪を求めるなど日本では反日的なイメージが強い。しかし李明博元大統領は日本統治時代に大阪で生まれ育っている。そして先ほどの日本名も持っていたということもあり、親日派だとレッテルを貼られることがたびたびあった。さらに朴僅恵前大統領も慰安婦問題で日本に対して強硬姿勢をとってきた印象が強いが、父親の朴正煕元大統領も高木正雄という日本名を持っていた。さらに日本の陸軍士官学校を卒業しており、1965年の日韓国交正常化を主導した人物だった。とこういうこともあって朴僅恵前大統領は親日派の娘だという攻撃に常にさらされてきた。そして最近、親日派という言葉の意味合いが徐々に拡大されている節がある。2019年10月に行われた天皇陛下の即位の礼の時に、今回の大統領選に立候補を表明している李洛淵氏は当時の首相として出席している。論争のタネのは李洛淵氏が着ているえんび服。李洛淵候補のライバル候補の関係者が『えんび服は日本の政治家の制服だ』と主張したうえで、李洛淵氏に対して『韓国の大統領ではなく日本の首相がお似合いだ』と皮肉交じりに批判した。この言いがかりでしかないようなこのえんび服批判には背景がある。えんび服発言をしたのは李洛淵氏のライバル候補が地元の観光公社の社長に起用しようとしていた黄橋益氏という料理評論家。料理評論家が日本の料理ばかりを評価しているとして『東京や大阪の観光公社の社長の方がお似合いだ』と先にこの李洛淵陣営がこちらを批判していた。これに対して親日派のレッテルをお返しする形で飛び出したのが先ほどのえんび服発言だった。ただここで注目したいのは親日派の意味合いが変わってきている。親日派という言葉はあくまで戦前の日本を敵視する言葉だったが、『東京の観光公社』や『日本の首相』がお似合いといった発言というのは現在の日本を悪の象徴として位置づけている。いわゆる徴用工問題などで日韓関係が悪化する中、現在の日本と近いことが悪である、そういった図式がこの大統領選挙で自然に定着しているような印象を受ける。こうした親日論争に対して日本の外交担当者は『韓国の選挙戦とはいえ無関係の日本がこういう扱いを受けるのは正直気持ちいいものではない』と不快感をあらわにした。2022年5月以降は新大統領が日本と向き合うことになる。親日論争が飛び交う選挙戦で未来の大統領がどういった発言をしていたのか私たちはしっかりと覚えておく必要がある」

加藤綾子キャスター「話を聞くと日韓関係の改善はちょっと遠いのかな」

古市憲寿氏「なかなか難しい。戦後の日韓関係って3段階に分けられると思うんですけど、まず例えば50年前ってのは、韓国から見て、貿易支配のうち4割ぐらいが日本だったので、なかなか日本に強く見られないって時代が長く続いたんですね。でも、その貿易支配が、今、韓国目線だと、日本ってもう1割くらい下がっている。だからこの10年20年ってのは、結構、韓国から見ると日本に対してすごい強気に出られる。それが、今更に進んでいて、やっぱり韓国にとっても中国の方がはるかに大事な国になっているので、日本はもちろんこうやって批判の対象にはするんだけれども、一番重要な国かというとそうではなくなってきている。だから大統領選でも、もちろん、こうやって日本のことを持ち出されはするんですけれども、重要な争点にはもはやなり得ない。韓国にとっては中国関係であるとか、あと年金問題とか色んな問題が山積しているので、だからこうやって悪口をやるのが、嫌な気分ですけど、実はそんな重要視されてない争点にもなっているのかなって気もします」

加藤綾子キャスター「影響をものすごく受けるっていうイコールではないですよ」

古市憲寿氏「日本からしてちょっとやっぱり嫌ですけど」