2007年にバンダイから発売された“∞(むげん)プチプチ”を覚えているだろうか?
国内外累計335万個を売り上げた大ヒットおもちゃだ。
気泡緩衝材に似た丸い突起物を無心にプチプチつぶした人も多いだろう。

あれから12年。“∞(むげん)プチプチ”を開発したおもちゃクリエイターの高橋晋平さんが、“気泡”に注目した新たなおもちゃの商品化に向け、クラウドファンディングを実施し、開始からわずか13時間で目標金額に達してしまった。

そのおもちゃというのが、液状のりの気泡を割ることに特化した「やみつき感触トイ 気泡わり専用アラビックヤマト」だ。

ピンと来る人もそうでない人もいると思うので、まずは、その動画をご覧いただこう!

そう、「液状のりの中に浮かぶ気泡を、容器をくるっと回して真っ二つに割る」というものだ。
開発者の高橋さんいわく、気泡が2つに割れる感触が何とも言えず気持ちよくて、癒されるという。

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確かに、液状のりの中に気泡があることは記憶にあるものの、無限に遊べたかというとちょっと疑問だったが、クラウドファンディングはすぐに目標金額を突破した。
なぜ今回、液状のりの気泡に特化したおもちゃを作ろうと思ったのか?
そして、この商品は、∞プチプチを超える大ヒットとなるのか?開発者の高橋晋平さんに話を聞いてみた。

小学生時代の思い出がアイデアの元に!

――2007年に発売し、大ヒットした∞プチプチから12年経つが、 今回の「気泡わり専用アラビックヤマト」のアイデアはいつ思いついた?

遊びを小学生時代に3年間ずっとやっていたのですが、商品化という発想はおもちゃの仕事をしてからも全く考えたことがありませんでした。それが、2018年にたまたまこの昔の思い出の話をしたところ、1か月で3人、自分と同じように気泡を割っていた人が発見されたので、全国には同じ体験をしていた人がたくさんいるはず!という仮説の元に、商品アイデアを考えました。

――∞プチプチは誰しも共感する部分があるが、今回の作品の周囲の反応は?

ものすごく共感して「なつかしー!!」と興奮する人と、全く意味が分からない人に分かれました。知人に話すと、共感する割合は3割程度という感覚です。

――アラビックヤマトを販売するヤマト株式会社さんに企画提案した際の反応は?

「考えたこともなかった。気泡を割るって一体・・・?」という感じでしたが、お問い合わせフォームからオファーして一発で会っていただけました。最初に訪問したのが2018年10月で、今ではすっかり気泡わりのファンになっていただいています。というか向こうが本家ですが。

“黄金比”は内容量35ml

――具体的にどのように商品開発を進めていった?

最初に、アラビックヤマトの分量を少しずつ変えながら、一番気泡わり遊びを気持ちよく楽しめる容量を決めました。

――のりの分量については相当研究されたようだが…

通常販売されているアラビックヤマト50mlを開封し、中身を40ml~25mlまで16段階に分けて用意。気泡わりを初体験する人間にある程度の練習をさせた後、その人間が、気泡を目視でおよそ半々の体積に割れた回数を、それぞれのサンプルで20回ずつ試験して記録しました。

その結果、液状のりの中身が40ml程度では、気泡を割る難易度が高く、成功率は50%未満。そこから徐々にのりの量を減らしていくと成功率が上がっていき、内容量が35mlの時の成功率が70%程度になりました。引き続きのりの量を減らしていくと、さらに成功率は上がっていきました。

分量が少なくなると、簡単に気泡が割れるようになり、適当に動かしても割れるため面白味が減ります。だから単純に「割れやすい」ようにしないことが重要でした。今回、成功率が70%に近い、内容量35mlに充填量を工場で調整していただくことに決定しました。

――分量が決まった後は、どう進めていった?

次に、気泡が真っ二つに割れた時の境目の位置を数学的に計算し、目盛り入りのシールをデザインして貼る位置を決めました。

――ちなみに、気泡を2つにうまく割るコツは?

下の図のようなステップを行うとうまく2つに割れます。

①容器を直立させ、空気(気泡)部分が上にある状態にします。
②容器を逆さに傾けていき、気泡が昇り始めたら、
③容器をひねるようにくるくると回転させて気泡を下に降ろし、のりの重みで気泡をつぶすと、
④気泡が「ぷにゅん」と気持ちよくちぎれて2つになります!
※その後、容器を傾けると、気泡は元通りくっつきます。

大ヒットの予感は?「全くありません」

――クラウドファンディングでわずか13時間で目標金額に達したことについてどう思う?

素直に嬉しいです。しかし今回の真の目標は、大人たちがみんなで集まって昔アラビックヤマトで遊んだ思い出を語りながら気泡わり大会をするというイベントの成功なので、イベント参加チケット付きのリターン支援をこれからさらに増やしていきたいです。

クラウドファンディングで支援した人に送られるのが、右の気泡わりアラビックヤマト

――一般販売の目途は?

未定です。クラウドファンディングが非常に大きな成功を収めた場合に初めて一般販売の検討を開始するため、現時点では、一般販売予定は白紙の状態です。

――ちなみに、この商品は、のりとしても使える?

使えますが、使うと気泡:のりの黄金比が崩れるので、使わないことを強く推奨しています。

――“∞(むげん)プチプチ”のような大ヒットになる予感はある?

全くありません。わかる人が限られているだけに、少ない人数が熱狂するタイプの商品です。今回のプロジェクトを立ち上げた一番の目的は、気泡わりに気が付いていた少数の人たちと出会い、みんなで友達になることです。人と人との出会いのきっかけになれば幸いに思っています。もちろん私自身も、昔気泡わりをしていたいろいろな人に会いたいです。

――最後に…偶然にも“∞プチプチ”も気泡だが、 高橋さんにとって“気泡”とは?

ぷにぷにして柔らかいのに、割れちゃう存在です。


開発者も言うように、かつて大ヒットした“∞プチプチ”のような万人受けするものにはならなそう。しかし、少人数の人には熱狂的にはまる商品になりそうだ。
クラウドファンディングの締め切りは、8月28日にまで。興味ある人は支援して、気泡に癒されてみるのも良いかもしれない。