プレスリリース配信元:TDB

2019年の売上規模は2年ぶり減少も回復傾向に




「サバ缶」など缶詰製品は、一時生産が追い付かないほどの需要が急増した(筆者撮影)
魚缶のほか、かまぼこをはじめとする水産練り製品などの水産加工食品の売上規模は、2019年に3兆6100億円となり、2年ぶりに前年から減少した
過去10年間で最も落ち込んだ2013年から最も大きく売上規模が伸長したカテゴリーは「魚肉ソーセージ」で23.5%増加。サバ缶ブームなどで近年人気が拡大している「缶詰」は3.1%増加した。「水産練り製品」は4.9%減など厳しさが続いた
新型コロナの影響で業務用が不振な一方、家庭用では健康志向などから水産加工食品への見直しが進み、足元では消費の拡大がみられる。秋以降の鍋物需要も見込めるため、業績拡大に追い風となることが予想される



2019年は2年ぶりに売上規模が減少したが、 近年は回復傾向にある
魚缶や魚肉製品、かまぼこをはじめとした水産練り製品など、水産加工食品の2019年の売上規模(事業者売上高ベース)は、国内全体で約3兆6100億円となり、前年から2年ぶりの減少となった。

水産加工食品業界は近年、消費の低迷や記録的な不漁、魚のすり身など輸入材料の価格高騰にも直面し、加工業者の倒産が相次ぐなど苦しい経営環境が続いていた。しかし、今年は新型コロナの影響で内食需要が拡大。健康志向などから水産加工食品が見直される動きもあり、市場環境には明るい展望も見え始めている。


健康志向が追い風、「魚肉ソーセージ」は2割増 缶詰も「サバ缶」ブームで好調

「魚肉ソーセージ」が2割超の増加を見せる半面、 「水産練り製品」は唯一減少している

過去10年で最も落ち込んだ2013年と直近の19年を比較すると、水産加工食品6カテゴリーのうち5つで、それぞれ売上規模が拡大した。最も大きく伸長したのは「魚肉ソーセージ」で23.5%増加。次いで、「寒天」(11.2%増)、「海藻」(10.9%増)、「冷凍食品」(10.7%増)、「缶詰」(3.1%増)がそれぞれ増加した。  「魚肉ソーセージ」や「冷凍食品」では、健康志向や食の簡便化ニーズを背景に需要が伸長。「寒天」や「海藻」も、同素材を使用した健康食品需要の高まりを受け、小売店やEC経由での販売が好調な企業が多かった。  

「缶詰」では、定番商品の「ツナ缶」などをした水産缶詰商品をはじめ保存食として知名度が高まったほか、ペットフードとしてのニーズも高水準で推移したことが追い風となった。  特に、最近では「サバ缶」「イワシ缶」などの缶詰製品が健康やダイエットに良いとしてメディアに相次いで取り上げられ、一部で生産が追い付かないほどの需要増が発生。各社で売り上げが好転するなど市場活性化の起爆剤となった。

一方、かまぼこやちくわ製品など「水産練り製品」の売上規模は、2013年から4.9%減少するなど厳しさが続いた。水産練り製品業界では近年、健康志向の高まりも背景にスケトウダラのすり身を使用した「かに風味かまぼこ(カニかま)」が消費者に見直され、販売を伸ばすなど明るい話題もあった。  しかし、製品需要の多くが秋冬の鍋物需要に集中するなか、近年は暖冬が続いたことでおでん商材のちくわや揚物製品など定番の鍋物商品需要が振るわなかった。加えて、主要な販売先の一つであるコンビニおでんの販売中止や期間縮小が相次いだことによるあおりも受け、売り上げを落としたケースも散見された。


コロナ禍で改めて注目された水産加工食品、 内食需要の拡大が大きな追い風


多くのカテゴリーで前年同月を上回る推移となっている
今後の水産加工食品業界は、新型コロナの感染拡大で高まる内食需要をどう獲得するかが、引き続き業績の明暗を分けそうだ。9月末までに判明した、3月期決算の上場水産加工食品9社の21年度通期業績予想のうち、大手のマルハニチロなど5社では前年度から減収予想となっている。客足が落ち込んだ外食産業やコンビニなど、多ロットの出荷が期待できた業務用需要が大幅にダウン。世界的なすり身価格の高騰をはじめ原材料価格も不安定なことから、やや弱含みの見通しとなっている。  

他方、外出自粛などの影響で家庭用をメインとする企業では好調さを維持する。いわゆる「巣ごもり需要」の持続も奏功し、一正蒲鉾など3社では前年を上回る業績予想となるなど、業務用と家庭用市場では展望に差がみられる。

実際に、総務省の「家計調査」では緊急事態宣言が発令された4月以降、多くの水産加工食品で家計の支出金額が増加している。前年同月から2ケタ増となった、味付けタコなどの「魚介漬物」などを含む「その他の魚介加工品」(7.5%増)から、ちくわやかまぼこなど「水産(魚肉)練り製品」(5.6%増)などの品目で前年を上回る月が多く発生している。家庭内での調理需要や家飲みにともなう“おつまみ需要”などで内食の機会が増えるなか、水産加工食品が見直されている様子がうかがえる。  

気象庁は、今年の冬シーズンは概ね平年並みの気温で推移すると予想する。そのため、冷え込みが本格化する秋以降は、調理が簡単なレトルトおでんセット、ちくわや揚物製品など季節商品の販売増加が見込まれており、水産加工食品業界に明るい兆しが見えている。 年末商戦も控えるなか、業者からは「(今年は」巣ごもり需要が期待できるのでは」との前向きな声も聞かれており、業績拡大に追い風となることが予想される。

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