2300億円余りを手にして社長退任

斬新なアイデアで急成長した衣料品のネット通販大手「ZOZO」。
ソフトバンク傘下のヤフーは、10月上旬、TOB(株式公開買い付け)によってZOZOを子会社化すると発表し、ZOZOの前澤友作氏は代表取締役社長を9月12日付で退任した。

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「ZOZO」創業者・前澤友作氏:
この日を迎えられたことを大変うれしく思うと同時に、これからヤフー社ならびにZOZO社の成長・発展を、心から願っている次第です

前澤友作氏
前澤友作氏

前澤氏は、保有する株式およそ36%のうち、30%ほどを売却。2300億円余りを手にして、ZOZOの経営から退くという。

退任の判断に至った理由については「ZOZO社というのは、いろんな課題に直面している今、経営の考え方、体制、抜本的に変わるべきタイミングだったと思う」と話した。

私生活では注目を集めてきたが…

前澤氏のインスタグラムより
前澤氏のインスタグラムより

2018年には民間人初の月旅行の客に名乗りを上げるなど、私生活で注目を集めてきた前澤氏だが、本業のZOZOでは、2019年3月期の業績予想を大幅に下方修正。2007年の上場以来、初の減益となっていた。

自ら育て上げたZOZOとその社員について問われると「社員には僕の口から、今回の経緯だったり、目的だったり、そう至った自分の考えを伝えるつもり。社員の話をすると、本当にちょっと感極まってしまいまして」などと目を潤ませた。

一方で、今回の買収は、ヤフー側にとって若い世代を中心にした800万人の顧客を取り込むことになり、ネット通販事業の拡大を狙えるというメリットがある。

前澤氏の会見には、自身が尊敬するというソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏がサプライズ登場。
孫氏は、前澤氏からZOZOの今後について相談を受け、ヤフーを紹介したことを明かした。

今後について聞かれた前澤氏は「発表させていただいてる通り、2023年に月に行くが、実はそれより前に1回宇宙に行く。もう少し近場に行く」と答えた。

D2C(Direct to Consumer) といった新しい流れ

三田友梨佳キャスター:
前澤社長の退任のタイミングですが、どう思われますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
2点ほどあると思います。1つは、国内最大級のファッションサイトではありますが、割引キャンペーンなどでZOZO離れが若干進み、ビジネスに陰りが見えてきています。2点目としては実は、ネット通販ではD2C(Direct to Consumer) といった新しい流れができています。消費者に対してメーカーが直接商品を販売する形で、自分で製造して企画してECサイトだったり直営店が直接売ります。これは中間業者を抜くのでお客様の意見が伝わりやすく、マージンも減って安く販売できるメリットがあります

渡辺広明氏
渡辺広明氏

三田友梨佳キャスター:
通販サイトを経由せずに自社のサイトで直接販売するということですね。

渡辺広明氏:
そうです。アマゾンなどのサイトを使わずに直接販売するのが潮流になりつつあります

三田友梨佳キャスター:
今後のZOZOの課題は何ですか?

渡辺広明氏:
小売業はお客様の微妙な変化に対応していかないとビジネスが成り立たないので、(判断の速い)トップダウン経営が非常に向いていると言われていました。今回、トップダウン経営から組織的経営に移行するということなので、お客様へのきめ細やかな対応についていけるのかなというのが、ZOZOとヤフーの課題になってくると思います

三田友梨佳キャスター:
あとZOZOの考え方に賛同して入ったZOZO社員の方々は?

渡辺広明氏:
そうですね。幕張勤務だとか、同じボーナスだとか、6時間しか勤務しなくていいとか、数々の新しい前澤さんの考えに賛同して入った社員の方がいるので、その辺りがどうヤフーに引き継がれるのか社員の気持ちも気になります

三田友梨佳キャスター:
一方のヤフーは今回の買収でネット通販事業を拡大させることになり、業界内の競争激化が予想されます。

(「Live News α」9月12日放送分)