参議院選挙スタート!そもそも“参議院”って何?

与野党の熱戦が繰り広げられる参議院選挙がスタート。今回の参議院選挙で初めて投票する18歳の有権者の皆さんにも分かりやすく、参議院って何?衆議院との違いは?選挙戦の仕組みは?…など様々な疑問をシリーズで解説します。

まず、参議院とは何か?です。

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日本は、国の権力が1つに集中しないように、「三権分立」という仕組みを導入しています。
「三権」だけに3つの権力を分けていることなんですが、その1つ目は、法律を作るところ。これは「立法権」とも呼ばれていて、国民から選挙で選ばれた、国会議員が運営する「国会」が担っています。
2つ目は、作った法律に従って政策を実行していくところ。これは「行政権」と言われ、「内閣」が担っています。今は安倍総理大臣を中心にした安倍内閣がその役割を担っています。
3つ目が法律に違反したことを罰したりする「司法権」で、裁判所がその役割を担っています。

参議院は、このうちの1番目、法律を作る「立法権」=国会の機関です。参議院とは別に「衆議院」という機関もあって、日本国憲法では「全国民を代表する選挙された議員」として、衆議院と参議院の2つで国会を作ることが決められています。

国会議員の定数

「国会議員」と呼ばれるのは、この衆議院と参議院の議員として、選挙で当選した人たちのことです。その国会議員の定数は、衆議院が465人、参議院は245人と法律で決められています。

1947年に初めて参議院選挙が行われた時には参議院は250人いたんですが、徐々に人数を減らしていって、一度は242人になりました。その後、2018年に法律が改正され、今回の参議院選挙からは議席が3議席増えて、定数が245になりました。

また、参議院では国会が始まる時に、天皇陛下が出席されて「開会式」が行われます。これは、日本が戦争に負ける前の、帝国議会の時代の「貴族院」に代わるものとして参議院が設置された歴史が背景にあります。帝国議会の時には「開院式」が貴族院で行われていたことから、「開会式」は参議院で行われることになりました。

第198回通常国会開会式(2019年1月28日)
第198回通常国会開会式(2019年1月28日)

全ての議員が出席して、法律などの賛成・反対の意思表示をする、大きな会議室のような場所を「本会議場」と呼びます。本会議場は衆議院と参議院に1つずつありますが、参議院だけは開会式があることから、議長席の後ろに天皇陛下の席があります。

「改選」「非改選」って何?

参議院の定数は245人と説明しました。

ただ、新聞やテレビの報道を見ていても「改選議席」や「非改選議席」という言葉が出ていてよく分かりません。これは何のことかというと、参議院議員の任期は6年間あって、3年ごとに半分の人たちが任期を終え選挙を行うからなんです。

今回は245議席のうち、「改選」となる124人が選挙を戦いますが、残りの議員は「非改選」で、3年後の2022年に任期を終えて選挙を戦います。さきほど触れた2018年の法律の改正で、実は参議院の議員の数は6議席増えることになりました。

ただ、3年ごとの参議院選挙に合わせて3人ずつを2回に分けて増やすことになっているため、今回は半分の3人が増えました。次の2022年の選挙でも3人増やすため、最終的には参議院の定数は248議席になる予定です。

一方の衆議院は、全ての議員の任期が4年と決まっていますが、「解散」といって、任期が終わる前でも選挙をすることがあります。今年は「衆参ダブル選挙か?」という話題が大きく取り上げられました。これは参議院選挙に合わせて衆議院を任期の途中に「解散」して2つの選挙を同時に行うことを指しています。

逆に参議院は3年ごとに、半分ずつ選挙をすることによって、急激に議員が入れ替わったりする変化を和らげられるほか、「解散」がないことで、長期的な視点で国会議員として活動してもらう目的もあります。

参議院と衆議院それぞれの「権限」

また、参議院と衆議院はほとんど同じ権限を持っています。
この「ほとんど」というのがポイントなんですが、まずは同じものからご紹介します。

例えば新しい法律を作ろうとして、衆議院で議論が行われて、衆議院の過半数の国会議員が最終的に「賛成」としても、法律は決定にはなりません。衆議院で賛成が過半数となった新しい法律は、次に参議院で再び一から審議されます。そして議論を経た上で賛成か反対かが決定されます。

よくニュースで「〇〇法案が本会議で可決されました」という時と、「〇〇法案が本会議で成立しました」という時があると思います。「可決」は衆議院か参議院のどちらか一方で決定したこと。「成立」は両方で賛成が過半数を超えて法律として決定されたことになります。ですから、衆議院と参議院は同じ権限を持っているとも言えます。

衆議院の優越

ただし、さきほど「ほとんど」と説明したように、一部異なるところもあります。
「衆議院の優越」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。衆議院は前述の通り任期も参議院より短く、「解散」もあることから、参議院よりも国民の意思により近いと考えられているため、優先されている権限があります。

例えば、衆議院で決定された法律が、参議院で反対となった場合です。この場合、衆議院は本会議で出席議員の3分の2以上が賛成すれば、参議院が反対した法律も決定することができます。

また内閣総理大臣も、衆議院、参議院それぞれで投票によって決定されますが、衆参で異なる国会議員が総理大臣に指名されてしまった場合には衆議院の決定が優先されます。

さらに、衆議院には、今の政権は即座に辞めるべきだという意思表示をする「内閣不信任決議」の権利があります。この決議が衆議院で可決された場合、内閣は、「10日以内に衆議院を解散」するか「総辞職」をしなければいけないことが憲法69条で決まっています。

参議院にも問責決議という「責任を問う」類似の決議がありますが、法的な効果はありません。

では、参議院選挙はどういう仕組みが行われるのかについては次回の解説でお伝えします。

執筆:フジテレビ政治部 与党担当キャップ 中西孝介
【イラスト:さいとうひさし】

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中西孝介
中西孝介

FNNワシントン特派員
1984年静岡県生まれ。2010年から政治部で首相官邸、自民党、公明党などを担当。
清和政策研究会(安倍派)の担当を長く務め、FNN選挙本部事務局も担当。2016年~19年に与党担当キャップ。
政治取材は10年以上。東日本大震災の現地取材も行う。
2019年から「Live News days」「イット!」プログラムディレクター。「Live選挙サンデー2022」のプログラムディレクター。
2021年から現職。2024年米国大統領選挙、日米外交、米中対立、移民・治安問題を取材。安全保障問題として未確認飛行物体(UFO)に関連した取材も行っている。