駅に設置された補助犬用のトイレ
目の不自由な人が安全に歩くことを手伝う盲導犬。身体の不自由な人のために、ドアの開閉や落とした物を拾うなど日常生活をサポートする介助犬。そして耳の不自由な人に音を知らせる聴導犬。これらを総称して補助犬という。
補助犬は身体の障害を補い日常生活を豊かにしてくれる、頼れるパートナーである。
そんな人間のパートナーである補助犬のためのあるものが、駅に設置されていると話題になっている。
犬の顔と一緒に「ほじょ犬トイレ」と書かれている。そう、これは補助犬用のトイレである。
写真からは中が少し見えるが、広いスペースとなっていて、シャワーも付いているようだ。
場所はJRさいたま新都心駅の構内で今年4月1日に使用が開始された。
「初めて見た!!!なんて優しい世界」
とのコメントとともに、7月4日に投稿したマメきな(@kinachan1104)さんは、補助犬用のトイレを見たときの感想として「介助犬は訓練されているから排泄を我慢出来ると思っていた自分がとても恥ずかしく思い、なんて優しいトイレなんだろうと感動して鳥肌が立ち暫くその場にいました。 介助犬用のトイレがどこにでもあってユーザーの方の精神的な不安やワンちゃんが膀胱炎になったり辛い思いをしないで済むように優しい社会になって欲しいと思います。」と話してくれた。
ネット上でも「本当に感動して鳥肌が立ちました!もっとたくさんの駅や公共施設に作るべき」や「素敵すぎる。最も広まって欲しい!」などのコメントが寄せられ、1万超のいいねがついている。(7月11日現在)
その存在を初めて知ったという人が多いようだが、今回、どういった経緯で補助犬用のトイレを設置したのかJR東日本に聞いてみた。
様々なニーズに応えるために設置
ーー設置の経緯は?
さいたま新都心駅付近には多目的イベントホールやショッピング街があり、お身体の不自由なお客さまやお子さまをお連れのお客さまなど、駅を便利で快適にご利用いただけるよう様々なお客さまのニーズにお応えするため、改良を検討いたしました。
ーー補助犬用トイレはどのような機能があるのか?
利用者が持参したトイレシーツを使い、その上で補助犬が排泄を行う仕様です。シャワー水栓もついておりますが、清掃のための利用を想定しております。
設置した設備(補助犬用トイレ台、手洗い、汚物流し、ダストボックス、リード掛け、荷物フック、フラッシュライト、駅事務室へつながるインターホン、清掃用シャワー水栓)
ーー設置することでどのような効果があるか?
駅をご利用されるお身体が不自由のお客さまが、駅を快適に利用できると考えています。
ーー1日にどれくらいの利用者がいるのか?
補助犬をお連れになって利用されるお客さまは、1か月に1人程度です。
ーーさいたま新都心駅が初めての設置場所か?
駅の改札内に建物として設置したのは初めてです。
ーーさいたま新都心駅以外に設置しているか?
JR東日本管内ではJR一ノ関駅に簡易的な盲導犬用のトイレはございますが、今回のようなトイレ設備については、さいたま新都心駅のみとなります。
ーー今後の展望は?
今後の計画はございません。
羽田空港や成田空港にも補助犬用のトイレがあるというが、排泄管理の訓練をしているとはいえ、補助犬も排泄をするという当たり前のことをあまり考えたことがなかった人もいただろう。
まだまだ普及には時間がかかりそうだが、人間をサポートする補助犬にとってもストレスのない社会がいずれ実現することを願いたい。