「いつまでも独身の人は信用しない」企業のツイートが物議

大阪のシステムソフトウェア会社「クローバーフィールド」が6月29日、Twitterで「いつまでも独身の人は信用しない」「既婚でも子どもがいるかどうかで信用度は異なるということなんです」などと投稿し、物議を醸した。


クローバーフィールドの公式Twitterアカウントは、「7月1日施行の賃金規定から職階手当が大幅に増額になっています。 また、次回の更新時には住宅手当や家族手当の導入を検討しています。大っぴらには表明していませんが、ある特定の層を優遇する意志を明確にしたということです」と前置きしたうえで、以下のような投稿をしている。

「結局のところ、いい歳していつまでも独身の人は信用しないし、既婚でも子どもがいるかどうかで信用度は異なるということなんです。結婚以前に一人暮らし経験の有無も重要です」

その後の投稿でも、「本人の仕事や世の中への責任感など、どうしても差が出るんです。 自分一人が逃げ切ればOKの人と、子や孫の世代の安泰まで考えられる人が同じはずがないのです」としたうえで、「結婚して子どもをもうけることで眷属(けんぞく=血筋のつながっている者)を増やす社員が優遇されるように、家族手当や住宅手当を整備しようとしているわけです。 そして、社内で出世するのは結局そういう人物なので、職階手当を大幅に増額しました」と主張している。



「あまり大っぴらに発言するとお叱りを受けそうなのですが……」とも書いているので、ある程度の反響は覚悟をしていたようにも見えるが、案の定、この投稿に対し、Twitter上では「時代錯誤な発想」などと、批判する声があがっていた。

この記事の画像(2枚)

取材に対し「後継者の人物像として既婚で子どもがいる社員を想定」と回答

編集部では、クローバーフィールドの担当者に取材。
「物議を醸したことをどのように受け止めているのか?」と訊いたところ、以下のような回答が返ってきた。

たくさんの方に見ていただけたことに感謝しています。
弊社の給与は必ずしも高いものではありません。普段から何とか社員の給与を上げるべく検討を行っています。今回もそのための方針として、家族手当や住宅手当の導入を検討しています。
これは結果的に既婚で子どもがいる社員を優遇することになります。

また、職階にある者の手当も、もともと少なかったために今月から増額を行いました。
経営陣の高齢化に備えて後継者を育てるにあたり、その人物像として既婚で子どもがいる社員を想定しています。
ただし、家族構成などで具体的に昇格や手当を差別化するようなことはありません。

回答によると、こうした方針の背景には、会社の後継者の人物像として、既婚で子どもがいる社員を想定していることも関係しているようだった。

ただ、結婚しない人や子どものいない夫婦が増えている中で、この会社のように、企業が既婚で子どもがいる社員を優遇することに法的な問題はないのか?

アイランド新宿法律事務所の石鍋文人弁護士に見解を聞いた。

弁護士「法的な問題はありません」

――企業が既婚で子どもがいる社員を優遇することに法的な問題は?

法的な問題はありません。

手当等の賃金を減額する場合には、特別な事情がある場合を除き、各従業員から同意を得る必要がありますが(労働契約法9条)、賃金を増額する場合には、男女差別等(労働基準法3条、4条等)や正社員と非正社員との間の不合理な差異(労働契約法20条等)等に該当しない限り、会社経営者が自由に支給基準や金額を決定できます。

実際、「配偶者がいる場合には、月額2万円支給する。18歳未満の子がいる場合には、1人につき月額2万円支給する」等といった家族手当を支給する賃金規程を設けている会社は数多くあります。

また、このような賃金規程を一度、設けた後に、増額を変更することも会社経営者の自由です。

これは本来、国や地方自治体が負担すべき社会保障的な補償を企業が肩代わりしてきたという、歴史の表れでもあります。

このような支給基準に違和感がある方は、おそらく、「ライフスタイルが多様化する現代社会の中で、会社が従業員に対して一定のライフスタイルを押し付けるような賃金体系が許されるのか」という疑問があるのではないかと思いますが、規制するような法律はないのが現状です

もっとも、最近は諸手当を見直し、業務と関連しない手当(家族手当、住宅手当等)を廃止する会社が増えており、手当は「職務関連手当」と「通勤手当」程度という会社も増えてきています。


Twitter上で物議を醸していた、「既婚で子どもがいる社員を優遇」する企業の方針。
ライフスタイルが多様化する中で「時代錯誤」といった批判の声もあがっていたが、弁護士によると「法的な問題はない」ようだ。