運用開始後初となる「後発地震注意情報」が発表され、多くの人が地震・津波への警戒が高まっているようだ。防災士でもある福島テレビの斎藤恭紀予報士が、視聴者からの質問に答える形で、千島海溝・日本海溝での地震発生の可能性と福島県への影響、そして最新の津波観測技術について説明した。

■福島県沖での巨大地震発生確率はほぼ0%
福島県南相馬市に住む視聴者から「また311のような大きな地震が起こる可能性があるのか」という質問が寄せられた。これに対し斎藤予報士は、「政府の地震調査委員会が、福島県沖で東日本大震災のような巨大地震が30年以内に発生する確率はほぼ0%としています」と回答した。

東日本大震災は数百年に一度のスパンで発生する歴史的な地震であり、2011年にすでに発生したことから、福島県沖では当面このレベルの地震は起きないと考えられている。一方で「岩手県沖では起こる可能性がある」と注意を促した。

■千島海溝・日本海溝での巨大地震と津波の想定
日本海溝でマグニチュード9クラスの地震が発生した場合、福島県内で予想される最大震度は5弱だという。斎藤予報士は「5弱だと被害は少ないかもしれない」と説明する一方、「日本海溝地震は地震よりも津波」と津波の危険性を強調した。

想定される津波の高さは地域によって大きく異なり、南相馬市では19m、大熊町では14.1m、いわき市では7.7mと予測されている。特に注目すべきは「浪江町から北側では東日本大震災を上回る津波になる」という点だ。

「震度4や5ぐらいの地震でも、大きな津波は押し寄せるんだ」と斎藤予報士は警告し、沿岸部の住民に対して家族や職場で避難行動について話し合うよう呼びかけた。

■なぜあんなに早く津波予測できるの?
また視聴者から「気象庁はどうやってあれだけの時間で津波注意報や高さの予報を出しているのか」という質問も寄せられた。2025年12月8日の夜に発生した地震では、震源時刻の11時15分からわずか2分後の11時17分には津波注意報が発表されている。

斎藤予報士によると、この迅速な対応は「津波予報データベース」によるものだという。「地震がこういう形で起きるよっていうことを何百種類、何千種類とデータベースに入っている。これが発生した場合にこういう形で津波が押し寄せるというのが、コンピューターの中で集約されている」と説明。このシステムにより、地震の位置や規模を判定してから約3分以内に津波警報・注意報を発表できるという。

■世界最先端の津波観測システム「S-net」
さらに東日本大震災後に整備された「S-net」と呼ばれる津波観測システムについても紹介された。
「海底で津波を観測しています。どうやって観測しているかというと、観測装置が水圧で津波を観測している」と斎藤予報士。福島沖を含む海域には高密度で観測装置が設置されており「世界で一番の津波観測が今、福島県沖で行われている」と述べた。

このS-netのおかげで、沿岸での津波検知が最大約25分程度早くなり、より多くの避難時間が確保できるようになっている。「世界レベルの津波予報が今日本でも行われている」と斎藤予報士いう。
地震や津波のリスクに備え「皆さん、それぞれ住んでる場所のリスクに応じて、避難行動を取っていただきたい」と斎藤予報士は締めくくった。

※2025年12月9日(火)に放送した福島テレビ「テレポートプラス」の天気コーナー「福テレ空ネット」から抜粋した記事です。気象情報などは最新の情報をご確認ください。

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