寿司でブランディング戦略を進めている富山県。

新たな寿司職人を育てようと、店とのマッチングの場を設け『お試し就職』として
育成を支援しています。

募集開始からおよそ1年半、県外から富山に移住し一人前の職人を目指して奮闘する人たちがいます。

富山駅前の商業施設マルートにある寿司店。

今年10月、この道60年の職人からフクラギのさばき方を教わっていたのは、北海道出身の甲斐祐介さん45歳、この日が初出勤です。

これまでに中国の飲食店で働いていた経験はありますが、魚の扱いは初心者。

寿司職人にずっと憧れていたと言います。

*北海道出身 甲斐祐介さん(45)
「とにかくお寿司をやりたくて北海道の田舎から出てきた寿司を覚えるまで帰るつもりはないのでしっかり覚えて頑張りたい」

*寿司職人 澤井久長さん
「これからですね真面目なんで全然年は関係ないと思う」

新たな寿司職人を育てようと県が進める体験型の就業支援『寿司職人お試し就職』。

去年5月から募集を始め後継者を求める店とのマッチングを行い、県外在住者にはお試しの間旅費や宿泊費を助成します。

希望者は最短30日から店を替えて最長3カ月まで、実際に働きながら就職先を検討します。

*とやま鮨 海富山 山崎良起店長
「飲食業はどうしても人材不足が懸念される年齢問わず熱意を持って修行に来ていただけるのはこちらとしてもかなりありがたい」

*北海道出身 甲斐祐介さん(45)
「ものすごい緊張感を持って仕事に臨めると思う」

この日は夜に40人を超える団体客の予約があり、甲斐さんも軍艦巻きを任されることに。

効率よく海苔を巻くコツを教わりながら、初めての仕込みに追われていました。

県によるとお試し就職にはこれまで9人が参加、うち4人が正社員として既に勤務しています。

そのうちの一人、山科亨士さん(38)。

1カ月のお試しを経て、今年5月から富山市内の寿司割烹で正社員として働いています。

兵庫県出身の山科さんは、就職を機に富山に移住しました。

お試しの間はウィークリーマンションで生活していましたが、今は富山市内のマンションで一人暮らしをしています。

Q)富山の生活は?
※山科亨士さん
「人もそんなに多くなくて移動しやすいというか住みやすい街」

体力勝負の立ち仕事、週に1度の休みはジムに通い自宅で毎日続けるストレッチで仕事中も体が少し楽になったと言います。

Q)移住の決め手は?
※山科亨士さん
「県が募集していて官民一体となって寿司職人を募集してたので安心できるので移住を決めた」

実は山科さんの実家は寿司店。

大学卒業後は食品会社に勤めていましたが両親と同じ寿司の道に進みたいと修行を積み、本格的な技術と知識を身に着けるため富山で新たな道に進むことを決めました。

今では、朝の仕込みをはじめ営業中はカウンターで寿司を握ります。

最初は緊張したというカウンターでの仕事も少しずつ慣れてきたと言います。

*愛知からの常連客
「富山が大好きなのでそういう(職人を目指す)人がどんどん増えればいい」

Qどんな職人に?
*山科亨士さん
「おいしいものを作るのはもちろん来ていただいたお客様に喜んでいただける楽しかったって…いうそういう職人を目指したい」

お試し就職スタートから3週間、再び甲斐さんを訪ねると、ネタとして使う鯛をさばく作業を任されていました。

Q)慣れた?
*甲斐祐介さん
「いやまだ全然ですそんな甘い世界じゃない引き続き同じ場所で頑張る決意をした」

甲斐さんも富山に移住し、この店で正式に働くことを決めました。

お試し就職から5人目の正社員、県は今後も募集を続けます。

*県知事政策局政策推進室ブランディング推進課 永井奈々子さん
「寿司店の人材不足の課題は多く聞いているので今後もマッチングの支援をやっていけたら」

県はマッチングを通じて戦力となるすし職人を育成し、高齢化が進むすし店の担い手確保につなげたい考えで、「寿司といえば、富山県」をよりアピールしていきたいとしています。

寿司職人を目指して移住した人たちは、元システムエンジニアや保育士など前の仕事も様々だそうです。

来年春には民間の寿司職人養成学校が開校予定で、県は連携をとりながら今後も人材の確保・育成に取り組むとしています。

富山テレビ
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