能登半島地震の発生からまもなく2年です。西区と江南区の一部で街区単位の液状化対策を実施する方針の新潟市は、現在、自治会単位の説明会を開催。自己負担などがネックとなる中、住民との対話を進めています。
■新潟市の液状化対策
江南区天野地区で自治会長を務める増田進さん。
【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「当初から見れば道筋が見えてきただけでも進んでいるとは思うが、こういうものを残したまま次の世代に引き継ぐのはいかがなものかと思う」
わき出す水…能登半島地震発生後の江南区天野地区の様子です。
再び液状化するリスクを低減させる対策を施すため、新潟市は1坪あたり5250円の費用負担と地権者全員の同意を求めています。一方で…
【住民】
「100%合意。それと負担金について100%合意はありえないと思う」
「その条件では対策の実施は難しい」と訴える住民。意見が平行線をたどる中…
【新潟市 中原八一 市長】
「負担軽減策について、これが新潟市としてできる最大限の対応になるのではないかと考えている」
新潟市は、年金受給者などを想定した世帯には費用負担を求めないなどの負担軽減策を提示。あわせて発表したのは事業の新たな進め方です。
要望のあった自治会に対し説明会を行い、意向確認のアンケートを実施。明確な反対が出ない街区では工事に向けた次のステップに進むというものです。
■自治会単位の説明会始まる
増田さんが会長を務める天野中前川原自治会を皮切りに始まった自治会単位の説明会。
【新潟市都市計画課】
「この事業と制度を十分理解いただき、メリット・デメリット、実施について是非の判断をできる状態になっている必要があると考えている」
対策工事の是非を判断できるまでの理解を目指す説明会は1回20人程度での実施となりました。
対策するエリアの地下を鋼矢板と呼ばれる鋼材で囲む工法について疑問を持つ男性は…
【住民】
「鋼矢板は本当に必要?」
【新潟市】
「鋼矢板を打つのは地下水を遮断する意味合いが一つ」
【住民】
「ライフラインがみんな入っている」
【新潟市】
「その通りです」
【住民】
「そのところに本当に鋼矢板できるのか?」
【別の住民】
「負担軽減策、もう少し分かりやすくすると、年金受給者は全額免除にあてはまるのか?」
【新潟市】
「年金受給者だから必ず該当すると言い切ることはできないと思うが、基本的な年金の方だけであれば該当するケースが多いと考えている」
工事内容に関する質問が上がった一方で、市が示す前提条件への疑問は消えていません。
【住民】
「全員同意、どう考えても無理に決まっている。一部を聞くと『それなら私は反対します』という人は案外多い」
新潟市は、「実施しなくていいという意見が出た街区では、再度、地域住民と相談し判断する」としています。
説明会の会場に飾られた“ふるさと天野”と書かれたうちわ。自治会の子どもたちが作りました。
【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「昭和50年代頃から新潟市のベットタウンみたいな形ででき上がった場所なので、住んでいる子どもたちがこういうふうに思ってくれているのはありがたいし、この地区の活性化のために頑張ってくれればと思っている」
次世代に安全をつなぐ液状化対策はどれほどのエリアで実施できるのか…対象となる自治会は63あり、新潟市は年内に21の自治会で説明会を実施。
市は、説明会の要望が出ていない自治会に対しても丁寧に意向を聞く考えです。