2024年に閉館した札幌のセンチュリーロイヤルホテルで長年愛されていた料理がよみがえりました。
新たな舞台は北広島です。
シェフや関係者の思いが詰まった、名物の味です。
「ジュー!」
「焦がししょうゆのいい香りがします。『和風スパゲティーセンチュリー風』。最初はまかないだったそうです。僕は初めて食べます。醤油ベースで卵がまるやかで、そこに黒胡椒のパンチが加わるんですね。気づいたらなくなってしまうぐらいどんどん食べ進められますね。愛される理由がわかります」(狐野彩人アナウンサー)
アツアツに熱した鉄板にのせられて、提供されるスパゲティー。
センチュリーロイヤルホテルの屋上の回転レストランで40年以上愛されてきた「和風スパゲティーセンチュリー風」。
愛称は「スパセン」です。
「ただいまをもちましてセンチュリーロイヤルホテル全ての営業を終了します。ありがとうございました」(センチュリーロイヤルホテル 桶川昌幸総支配人(当時))
建物の老朽化でホテルは2024年5月に閉館し、回転レストランは動きを止めました。
最後の客を見送った夜、総料理長の金子厚さんは…
「ビールが飲みたいですね。泣いちゃうかもしれません」(センチュリーロイヤルホテル 金子厚総料理長(当時))
金子シェフは1982年に入社して以来、名物の「スパセン」を作り続けてきました。
「センチュリーロイヤルホテルのオープン前にロイヤルホテルというホテルがあり、そこでも(スパセンを)出していた。オープンする前に作り始めてオープンと同時に盛りつけ始めた。ほとんどの客がスパセンを注文していた時代がありました」(金子総料理長(当時))
ホテルの閉館から1年半。
金子シェフの再出発の舞台は北広島市です。
「長きにわたり多くのお客様に愛されてきたセンチュリーロイヤルホテルの金子シェフの確かな技術と思いが詰まった新メニューを皆様にご提供する予定です」(関係者)
2024年、北広島駅の近くで開業したホテル「北広島ネバーエンドレオ」は部屋数がわずか7室ですが、どの部屋からも夕張山地が見渡せます。
12月1日、ホテルのレストラン「mog」がリニューアルし、料理長に金子シェフが就任したのです。
「ファイターズがあり、今度は大学ができて街が開けていくなかで自分が店を任される。それに負けず努力していきたい」(北広島ネバーエンドレオ 金子厚料理長)
腕によりをかけて新たなメニューを開発しました。
「mogスタイルの牛丼。北海道産の牛肉を岩内の海洋深層水で漬け込んで低温調理しているということで手間がかかっています。柔らかい!噛むほどに肉の味が広がり火加減が絶妙です。ローストビーフを和風に仕上げて牛丼と名付けるのがすごい!感動します!」(狐野アナウンサー)
このホテルで料理長の就任を依頼されたとき、思い浮かんだのがあのメニューでした。
「『食べたい』『食べたい』というお客さんの声を聞いてましたので、レストランを始める時のメニューに一番先に思いついたのがやはり“スパセン”でした」(北広島ネバーエンドレオ 金子厚料理長)
この人もスパセンの復活を待ちわびていた一人です。
「開店おめでとうございます」(桶川昌幸さん)
「社長、わざわざ北広島までありがとうございます」(金子料理長)
「センチュリーロイヤルホテル」の総支配人だった桶川昌幸さんです。
「最近はどうされていたんですか?」(桶川さん)
「最近はこの店のメニュー開発をしながら、スポーツジムでズンバもやりダイエットをしてました」(金子料理長)
桶川さんは現在、函館と釧路、利尻島で3つのホテルを経営しています。
「お待たせいたしました。『スパゲティーセンチュリー風』です」(金子料理長)
「これですよ!久しぶりです!」(桶川さん)
1年半ぶりのスパセンの味は…
「おいしいです。懐かしいです。元総料理長が直々に作ってくれた“スパセン”を食べられて本当に幸せです」
「(センチュリーロイヤル)ホテルは、そろそろ姿が消えていく形になってますけれど、料理や人はこうやって引き継いでもらえて本当にありがたい」(いずれも桶川さん)
札幌から北広島へ。
伝統の味は時代の波を乗り越えていきます。