演説中の安倍元首相を銃撃し、殺人などに罪に問われている山上徹也被告の裁判。
2日に行われた3回目の被告人質問で、山上被告は犯行時の詳細な行動と自身の心情について明かしました。
安倍元首相銃撃事件を巡り、2日に開かれた12回目の公判。
殺人などの罪に問われている山上徹也被告への3回目の被告人質問で、検察側は手製の銃の性能や試し撃ちについて聞いた後、狙う相手について聞きました。
検察側:
安倍元首相を狙うと決めていた?
山上徹也被告:
そうです。
検察側:
怒りの対象は、旧統一教会と示すため?
山上徹也被告:
はい。
事件当日の午前10時ごろ、奈良市内の現場に到着した山上被告は、現場近くにある商業施設のトイレで準備をしたと話しました。
検察側:
トイレの中で2銃身パイプ銃を触ったか?
山上徹也被告:
安全装置の1つをオフにして、射撃できるのに近い状態にした。
検察側:
ほぼいつでも発射できる?
山上徹也被告:
そう言っていい。
検察側:
安倍元首相が現場に来た際、様子をうかがっていましたね?
山上徹也首相:
はい。
「そのときの気持ちは?」という質問に対し、山上被告はしばらく沈黙した後、「本当に来たんだなと思いました」と答えました。
その上で、実際に銃撃するまでの状況を「(安倍元首相の)後方が空いていたので、『撃つならこの方向だ』と思っていたが、真後ろに警備がいたので『このまま演説が終わってしまうのではないか』『代わりにどこから撃とうか』と考えていた。横からがいいか前からがいいか」と考えていたら、警備が横に移動したので、「これは何か偶然には思えない何かがある」と思いました。自転車の老人や台車がゼブラゾーン後方を横断し、警備の目がそれていたので、『今か』と思って車道に出ました」と述べました。
これまでは淡々と証言することが多かった山上被告ですが、「偶然には思えない何かがあると思った」などと話した場面では、言葉に力がこもっていました。
そして…。
検察側:
1発目、2発目を撃った時の気持ちは?
山上徹也被告:
射撃の何かの本で“心得はなるべく無心であること”とあったので、なるべく何も考えなかった。
裁判官から「安倍元首相以外の政治家は対象にはならなかったのか」と問われると、「安倍元首相はおそらく私の考えでは、旧統一教会と政治家の関わりの中心にいる方だったので、他の政治家では意味が弱いと思った」と答えました。
また、「殺意が母親に向くことがなかったのか」と問われた際には、悩むように下を向き、「うーん…。実際に行うかどうかは別として、ありました」と口にしました。
3日と4日も行われる被告人質問。
12月18日には、検察側と弁護側双方が意見を述べて審理を終え、2026年1月21日に判決が言い渡される予定です。