政府が物価高対策として配布を後押ししている「おこめ券」。
配るのか、配らないのか。
自治体の対応に温度差が出始めています。
熊本県の高森町では、年末年始に町独自のおこめ券を間に合わせようと1日から配布を開始。
希望する全ての町民に2026年3月まで毎月1500円分が配布され、国産米に限り5kgごとに1枚利用できるといいます。
熊本・高森町の町民:
ありがたい、本当に。特に年金生活だし一番必要なのはお米。
早速おこめ券を使った人は、もち米を抱えながら「もち米高いから。正月のもち用に使う」と話していました。
一方、大阪・交野市の山本市長は、おこめ券配布拒否を繰り返しています。
山本市長はSNSで、「交野市はお米券を配布しません」「繰り返しますが、交野市は、市民のためにお米券を配りません」「鈴木農林水産大臣の露骨なお米券への誘導には屈しません」と、3度にわたり配布しないことを宣言。
理由として、券を配ることでその分経費がかかり、物価高騰対策には不適切だとしています。
鈴木農水相は2日、おこめ券反対論が出ていることに対し、「(Q. 経費率が高い等の理由でおこめ券を配布しないという自治体もあるが)各自治体において、できる限り負担感が少なく、速やかな実施が図られる方法を選択して進めていただくことを期待している」と述べました。
各自治体にゆだねられたおこめ券の配布。
東京23区内でも対応に違いがありました。
おこめ券について、現在検討中だというのは東京・渋谷区です。
渋谷区独自のキャッシュレスサービス「ハチペイ」でお米を買うと、最大50%還元されるサービスが1日から開始しました。
お得にお米を購入できた人は「ちょっとでも安くなるとありがたいですね。子ども5人いるので5kgあっという間で、お米代がね…」と話していました。
フレスコベンガベンガ渋谷本町店・松本智克店長:
通常の4倍ぐらいお米が売れました。1家族(上限)2000円ではなく、1人(上限)2000円なので、4人家族だったら8000円使えるということになりますので。
すでに区独自のサービスを行っていますが、政府の説明を聞いた上でさらにおこめ券を配布するか検討しているということです。
その一方で江戸川区はおこめ券を配らないと決めました。
区によると、おこめ券よりも低所得者や子育て世帯向けの支援を重視していくためだといいます。
江戸川区民からは「(おこめ券)あればうれしいかな。色々あるから不公平だとは思わないけど、何か原因があるのかな」「統一してもらえるんだったら、統一してもらいたいよね」「江戸川区が配らないのであれば、それ以上のものを期待してしまいます」といった声が聞かれました。
自治体間で不公平が生じる可能性について、鈴木大臣は「(不公平だと)そうした声があることも重々承知しております。推奨事業メニューの中で“市区町村に対応いただきたい必須項目”として位置付けされている。ですので、ご指摘のような不平等感を招かないよう配慮されていると考えております」と述べました。
政府は3日から自治体向けのオンライン説明会を実施する予定です。