杉本知事の辞職表明により、その翌日に予定されていた北陸新幹線の敦賀ー新大阪間の早期認可着工に向けた中央要請が中止となりました。来年度予算の獲得に向け国へ強く働きかける大事な時期ですが、知事辞職表明は北陸新幹線の延伸問題にも影響が出ています。
11月25日、杉本知事は複数の県職員にセクハラに当たるテキストメッセージを送っていたとして辞職を表明しました。
杉本知事はその翌日、宮本俊県議会議長とともに国土交通省や与党の自民党、日本維新の会に北陸新幹線の整備促進を要請する予定でした。
しかし、知事自身の辞職表明で要請活動は中止せざるを得なくなりました。
北陸新幹線を含む整備新幹線をめぐっては例年、新年度の政府予算案が編成される年末に沿線の各自治体が予算獲得をめぐってしのぎを削る大事な時期となります。
北陸新幹線建設促進同盟会の会長という重い責任を担ってきた杉本知事。
去年は、11月に沿線自治体10都府県の知事らを率いて、当時は与党だった自民・公明のプロジェクトチームの議員や国土交通省を訪ね、大阪までの一日にも早い全線開業などを要望していました。
ただ、今年はその状況が一変。
高市新総裁の誕生に伴い公明党が連立を離脱、その後、日本維新の会が与党入り。新幹線を議論する与党プロジェクトチームも再編成されることになり、沿線自治体による中央要請はできない状況が続いています。
こうした中で突如、浮上した杉本知事の辞職。
県新幹線建設推進課は福井テレビの取材に対し「今国会の会期中には整備新幹線の与党プロジェクトチームの会合が開かれると聞いている。プロジェクトチームの新たなメンバーが分かれば、沿線自治体の知事のスケジュールを調整して中央要請したい」としています。
しかし、同盟会会長で建設推進の「旗振り役」でもある杉本知事がいなくなることで、要請活動が行えるのかすら見通せなくなっているのが実情です。
北陸新幹線の小浜・京都ルートが実現できるかどうか正念場にある福井県。
整備新幹線の建設には政治力が大きな影響を及ぼすとされてきただけに、杉本知事の突然の辞職はあまりに大きな痛手と言わざるを得ません。