大量に並んだ市販のせき止め薬の空き瓶。

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これは2017年11月、東京都内の駅のトイレで撮影された画像だ。床には薬の空き箱が散乱している。

駅のトイレにすっげぇ量の薬の空き瓶あった。25本あったから2100錠。一度に飲んだのかと思うと怖すぎる(ツイッターより)


この異様な光景が意味するものとは何なのか。

厚生労働省は8月、最新の実態調査の結果として、特に10代の若者がせき止め薬やかぜ薬などの市販薬を乱用していると発表。10代の薬物依存患者が使っていた主な薬物を見ると、2014年に48%と最も多かった危険ドラッグは2018年にゼロとなり、代わりに市販薬が41%と急増している。

駅のトイレに市販のせき止め薬が散乱しているのが目撃されたのは2017年11月だが、今年4月にも同様の事態が起きていたことが、めざましテレビの調べでわかった。

14%が市販薬の過剰摂取を身近で経験…その理由は

市販薬の乱用の実態はどうなっているのか。街行く若者たちに話を聞いた。

友人が市販薬を過剰摂取していた人(10代A):
学校の周りとかで結構います。1回でやめるつもりだったみたいな。けど、どんどんハマっちゃって、どんどん飲んじゃうみたいなのはいます。

恋人が市販薬を過剰摂取していた人 (10代B):
元カノがやっていました。

次々と過剰摂取に関する証言が聞かれ、街の10代から20代の107人に聞いたところ、本人あるいは身近な人物が市販薬を過剰摂取していたという回答は、実に14%にも上った。

ーーどういう気持ちで薬を飲んでいる?

友人が市販薬を過剰摂取していた人(10代A):
自分の気分が下がっている時とか、周りで嫌なことがあった時に、何て言うんだろう…テンションを上げるためとか。

かつて、自身も過剰摂取していたという若者もいた。

以前、市販薬を過剰摂取していた人(10代C):
追い詰められた時はね、薬に頼って。クラクラが気持ちいいというか。週に2~3回ですかね、自分は。現実から逃げられるみたいな。

市販薬の過剰摂取は、ネットの書き込みや友人からの口コミで広がっているという。

以前、市販薬を過剰摂取していた人(10代C):
精神安定剤、まあ高いじゃないですか、本物のドラッグは。だから市販ので。

友人が市販薬を過剰摂取していた人(10代A):
せき止めの薬を普通に摂取する量の4倍とか、そのくらい。もう20錠とか、そのくらい飲んでる人が結構いますね。

「冷や汗が出る」専門医は肝機能への影響・依存性にも警鐘

厚生労働省の発表によると、過剰摂取の対象となっているのは、せき止め薬をはじめ、かぜ薬や鎮痛剤など、20種類以上。

せき止め薬には、「過剰服用・長期連用しないでください」と明記され、15歳以上は通常 1回の服用は4錠とされている。

国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦薬物依存研究部長:
1瓶に84錠入っているんですけども、多い患者さんでは1日3瓶とか、6瓶とか。1日1瓶は使い切ってしまうというような患者さんたちは、割と多くいます。

中には、1日に500錠以上を飲みきってしまうという人も…

――たくさん飲むとどうなる?

友人が市販薬を過剰摂取していた人(10代D):

冷や汗みたいなのが出る、変な感覚って言っていました。友達から教えてもらったって言ってました。

――結構前からやっている?

友人が市販薬を過剰摂取していた人(10代D):
つい最近です。1週間くらい前に言っていました。

恋人が市販薬を過剰摂取していた人 (10代B):
はじめ気分が良くなって、その後沈むみたいなことを言っていました。最終的には、気持ち悪くなって吐くって言っていました。本当にやばいなって思って、やめさせました。

吐き気や冷や汗以外にも深刻な症状もあるという。

国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦薬物依存研究部長:
かなり肝臓とか腎臓に負担のかかる成分が入っているんですよ。高度な医療設備のある総合病院などに一時的に入院させないと、肝機能障害を克服することができなかったりする現状もあります。

全身の倦怠感、幻覚が見える、うつが重くなるなどの症状が出る上に依存性も高く、やめられなくなるケースも。
こうした現状を受け、国やドラッグストア、製薬会社などでは、1人1点限りの販売とするなど、対策に力を入れているが…

国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦薬物依存研究部長:
駅前の数軒のドラッグストアをぐるぐるっと回れば、結構たくさん入手することができてしまいます。

また松本医師は、インターネットで薬が買える状況も背景にあり、さらなる販売方法の見直しが必要だと指摘している。

(「めざましテレビ」9月19日放送分より)