ネット対策が重視される近年の選挙戦

18歳にとってははじめての選挙となる参議院選挙。
これまで4回にわたって、参院選基礎講座をシリーズでお伝えしてきました。
第1回「参議選挙って何?」
第2回「参議院の選挙制度 誰をどうやって選ぶの?」
第3回「どうして島根と鳥取は2県で一つなの? 今回の参院選から導入“特定枠”って何?
第4回「投票終了直後の午後8時になぜ“当選確実”って言えるの?

第5回は、ネット選挙の仕組みと注意点について解説します。

電子メールに限らず、ブログや動画サイト、FacebookにTwitter、インスタグラムなどSNSも今や生活に直結している時代です。2013年の参議院選挙からインターネットを使った選挙運動が解禁されました。今回の参議院選挙でも、各候補者や政党・政治団体が積極的にネット発信を行っています。

私が政治記者となった約10年前に「ネットでいくら発信しても票にならない」と言っていた議員が、先日会った時には「ネットができなければ落選するよ」と、必死にネット対策に取り組んでいる姿が見受けられました。

一方で、制度もスタートしたばかりで、インターネットの選挙運動で何ができて、何が禁止されているのか意外と知らない人も多いです。違反行為には罰則規定もあるだけに注意が必要です。

ネット選挙で何がOKで何がNGなのか、解説します。

SNSでの拡散はOK、電子メールはNG

まず、TwitterやFacebook、LINEやインスタグラムなどSNSの使用は認められているのか。

結論を言えば、選挙期間中に有権者はSNSを使って特定の候補者に対して投票を呼び掛けることはできます。シェアやリツイートなどの形で、候補者の発言や文書、動画をネット上で紹介することも可能です。メッセージ機能を使って「〇〇さんに投票をお願いします!」と依頼することもできます。候補者や政党・政治団体もSNSで発信することは可能です。ブログやホームページ、動画サイトなどを利用する場合も同じです。

一方で、注意しなければいけないのは「電子メール」です。

有権者が電子メールを使って、特定の候補を応援することは禁止されているのです。電子メールで支持を呼び掛けることができるのは政党と候補者だけなんです。しかも、政党や候補者も送れるとは言っても、送る側の氏名やアドレスがきちんと表示されていることや、事前に送る先に対して同意を得ていることが必要になります。安易に候補者や政党から届いたメールを、友人にメールなどで転送してしまうと、禁止行為に触れて処罰の対象になってしまうので、気をつける必要があります。

また、選挙運動のために有料インターネット広告を使うことは、政党などに限って掲載することが可能です。

処罰の対象になる禁止事項

この他にも禁止されていて処罰の対象になることを列記していきたいと思います。

①18歳未満の選挙運動の禁止
18歳未満は選挙運動が禁止されています。そのためインターネットを使った選挙運動も禁止です。保護者の皆さんも注意が必要な点です。特に高校生の場合は、18歳と17歳が混在している場合も多いと思います。LINEなどのグループチャットでのやり取りなどは気をつける必要があります。

②選挙期間中以外での選挙運動は禁止
インターネット選挙運動が可能なのは選挙運動期間中のみです。選挙運動期間とは、公示や告示をされた日から、投票日の前日までなので注意が必要です。

③HPや電子メールを印刷して配布するのは禁止
候補者のホームページ、政党から届いたメールなどの選挙運動用の資料を、印刷して配布することは禁止されています。

④嘘の情報の公開や悪質な誹謗中傷の禁止
当たり前のことですが、候補者を当選させないために嘘の情報をネットを使って発信したり、過度な誹謗中傷などを書き込んだりした場合は罪に問われます。

SNSとメールの線引きが課題

ネット選挙の仕組みは以上になりますが、今後に向けての課題もあります。

SNSの機能などが増えている中で、電子メールと区別があいまいな点もその一つです。電子メールでの選挙運動は、なりすましの可能性などが指摘されていますが、SNSでもなりすましや乗っ取りが問題化している中、そこの線引きは必要なのか?という意見もあります。候補者が良くて有権者がだめな点も、分かりづらい点もあるかと思います。

もちろん、ネット選挙は解禁からまだ10年もたっていません。今後さらに新しいメディア、そしてネットが拡大する中で、ネット選挙の在り方は今後どんどん変化していく可能性もあります。

以上で5回にわたってお伝えした【『初めての選挙』18歳のための基礎講座】は終了です。

政治は身近に感じないと思っている人も多いかもしれません。しかし、年金・医療などの社会保障や教育や子育て支援など、生活に直結した課題を動かしていくのは政治そのものです。

あなたの1票が国を大きく変えるかもしれません。

執筆:フジテレビ政治部 与党担当キャップ 中西孝介
【イラスト:さいとうひさし】

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