札幌市中央区の円山地区で住民を不安に陥れたクマは、11月12日に駆除されたとみられます。
ほっとしたのも、つかの間。
今度は南区で出没が相次いでいます。
11月13日、札幌市南区藤野3条2丁目で体長1メートルほどのクマの目撃情報がありました。
付近の藤の沢小学校周辺では足跡も見つかり、14日は臨時休校となりました。
「ぞっとする。怖い。アルバイトから帰る時は、ひやひやしている」(付近の高校生)
2024年度の札幌市内のクマの出没情報は99件でした。
2025年度は既に354件を数え、3.6倍近く増えています。
そんな中、北海道警では凶悪犯に対応する機動隊の銃器対策部隊が、ライフル銃を使ってクマの駆除にあたることを検討していることがわかりました。
ハンターが対応できない場合の出動を想定していて、専門家などによる訓練を行う方針だということです。
全国的なクマ被害の深刻化を受け、13日から警察官がライフル銃で駆除することが可能となりました。
被害が大きい秋田県と岩手県では、すでに機動隊などによる駆除チームの出動式が行われています。
北海道警ではまだ出動には及んでいませんが、今後実際に駆除に当たる場合にどのような銃を使うのか、札幌市内の銃砲店を訪ねました。
「こちらがライフル銃です」(石狩銃砲火薬店 元陸上自衛官 佐々木 一哉社長)
一般的なライフル銃です。
普段、警察官が携帯している拳銃と何が違うのでしょうか?
「拳銃とライフル銃では威力が違う。拳銃は命中しても威力が圧倒的にライフル銃とは違うので、弾丸が当たってもクマは死なないと思う」(佐々木社長)
ライフル銃を使えばクマの駆除は可能なのでしょうか?
「可能か否かで言えば、可能だと思う。弾丸の当たりどころが悪いと致命傷にならないので、クマに襲われる可能性がある。クマの生態について学ぶ必要が十分にあると思う」(佐々木社長)
■道警がクマ駆除に出動する際の課題は
<道警記者クラブ 齊藤キャップ解説>
道警幹部からは「クマは心臓を撃っても突進してくる可能性もある。人間とは違う。法的には撃てることになったが、実戦ですぐに撃つことは現実的には難しい」と指摘する声も。
警察官であれば誰もがクマを撃てるわけではありません。
テロや銃器犯罪対策などにあたる道警機動隊銃器対策部隊が、クマの駆除にあたると想定されていますが、普段はライフル銃など銃器が使われる重大事件への対処を想定した射撃訓練をしています。
動物などは対象としておらず、人を対象とした制圧を目的にしています。
今後は、専門家など指導役をまねき、クマを撃つための訓練が必要となりそうです。
また部隊の拠点は札幌市南区にあるため、広大な北海道で迅速に現場展開できるか課題も。場合よってはヘリで出動する可能性も考えられます。