市街地でも度々目撃されるクマ。
秋田県では県庁の目の前にも出没し、青森県では海を泳ぐ姿が目撃されました。

14日、カメラがその姿を捉えたのは、通勤時間にさしかかる午前6時20分過ぎでした。

秋田市内の公園内を黒い影が歩いてきます。
近くの道路では車が走り、歩道を歩く人の姿も。

周辺には秋田県庁や市役所、スーパーなども立ち並び、まさに街の中心部にクマが現れたのです。

公園内を横切ったクマは一度見えなくなりますが、再び現れた瞬間、歩く人とニアミス。
その距離はわずか40メートルほどです。

クマはその後、足早に道路を横断。
そして、神社の敷地に入っていったあと、行方が分からなくなりました。

市街地に出没する“アーバンベア”の目撃情報はこの数日で急増。

14日に目撃された公園から半径4km圏内では、今週に入り40件以上の目撃情報が寄せられています。

近くに住む人からは「怖いな、怖い。びっくりした。市だとかちゃんと電気柵作った方が良いのでは」「最近は子どもを車から乗せたり降ろしたりするときも、結構警戒しながら降りてるつもり」と不安の声が聞かれました。

秋田市では、多くの人が利用する施設でも。

秋田県庁から約3kmの場所にある「ハローワーク秋田」の防犯カメラ映像を見ると、12日の午前7時半ごろ、クマが出没しました。

駐車場から道路に向かい歩くクマ。
トラックに驚くような様子もみられました。

クマは駐車場を横断し、建物の入り口の前を通り駐車場へ。
そして、隣の建物に侵入したということです。

防犯カメラにもハローワーク秋田の出入り口を通るクマの姿が映っていました。
駐車場を横切ったあとの行方は分かっていません。

ハローワーク秋田庶務課長の佐藤一彦さんは「工場に入って、新聞によると4時間ほど居座ったと聞いている。想定外の場所に現れたなと。もし鉢合わせがあったらどうなったんだろうと思います」と話しました。

そして、「イット!」が新たに入手した映像では、ハローワーク近くの工場内に設けられた鳥居をクマが横切る様子が映っていました。

その直後、工場の敷地内でもクマが目撃されました。

すぐ横の道路で多くの車が行き交う中、フェンスを器用に下りたクマ。
今度はフェンスを軽々とよじ登り、走り去っていきました。

時刻は12日午前11時前。
撮影者によると、当時、工場内には屋内退避の指示が出ていたといいます。

人間の生活圏で目撃が多発しているクマ。
驚きの生態をカメラが捉えていました。

2024年10月、長野・小諸市のごみ置き場で撮影された映像では、クマが倉庫の扉を前脚で開ける様子が映っています。

撮影したのは小諸市の公務員の猟師、いわゆる「ガバメントハンター」です。
「わな猟」の資格を持っています。

ガバメントハンター 小諸市役所農林課・佐藤勝弥さん:
果樹園があり、そこでクマの目撃が相次ぎ、わなを設置した。

8月に設置したわなでは、クマは捕獲できていません。

一方、2024年10月の午後11時過ぎに撮影された映像では、餌に釣られた体長167cm、体重95kgのツキノワグマがわなにかかり、捕獲される様子が確認できます。

暗闇にクマの目が光っています。

ガバメントハンター 小諸市役所農林課・佐藤勝弥さん:
今後、ハンターが減っていったりとか高齢化と言われる中で、行政が主体的になり動くという意味では、ガバメントハンターが必要になってくるのかなと。

さらに青森県では、驚きの映像が撮影されました。
海を泳ぐクマが目撃されたのです。

13日の午前9時40分ごろに撮影された写真をみると、水中から顔を出し、カメラのほうを向いたクマの姿が確認できます。

地元の漁協によると、クマは陸奥湾で港に帰る途中のホタテ漁師が発見しました。

猟友会のハンターが漁船に乗り、海上で駆除したということです。

山から市街地、そして海でも目撃されたクマ。
例年であれば間もなく冬眠の時期ですが、心配されているのが「冬眠しないクマ」です。

福島県で2024年12月下旬、住宅にクマが侵入し、こたつに頭を入れていたといいます。

冬眠しないクマはどんなクマなのか。

長野・須坂市の動物園で飼育しているクマは、冬眠しないといいます。

その訳を、須坂市動物園のツキノワグマ飼育員・笹井恵さんは「(冬で)エサが食べられないのであれば、静かに食べ物が食べられる春まで過ごそうっていうのがクマの冬眠。一日に必要な分のエネルギーが摂取できていれば、冬眠する必要がなく起きていられる」と話します。

このクマは、人間でいえば成人を超えたくらいで、飼育して8年の間、冬眠したことがないといいます。

須坂市動物園 ツキノワグマ飼育員・笹井恵さん:
春夏に比べると、1.5倍から2倍くらい食べてる状態。冬の間中起きてます。

柿や栗などを食い荒らすクマ被害が相次ぐ中、今後、冬眠しない野生のクマは出てくるのでしょうか。

須坂市動物園 ツキノワグマ飼育員・笹井恵さん:
栗が真冬に新たに実るというか、それはないので、今が大丈夫でも、この先本当に食べられるのかというのはわからない。

餌を求めて人里に現れる“アーバンベア”。
各地で警戒がさらに高まっています。

FNN
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