献身的に働いた警察官を称える今年の「県民の警察官」に、福井警察署・刑事第一課
鑑識係の小林広幸警部補が選ばれました。現場で証拠を収集する鑑識係や犯人の似顔絵を描く似顔絵捜査官として多くの犯罪の検挙に貢献したことが評価されました。事件解決を支える小林さんを取材しました。
福井警察署の小林広幸警部補は、高校生の頃に抱いた「人の役に立ちたい」との思いから警察官を志しました。以来35年、交番勤務や機動隊、捜査一課の刑事などを務め、あわせて15年、鑑識を担当。
事件や事故の現場で証拠を収集し、当時の状況を解明。犯人の特定に貢献しています。
小林さんは鑑識の仕事について「同じ現場はないし手口も様々なので、その都度考えてここから始めよう、とか段取りをしてあらゆる手法を使って採取していく。そういうところが難しい」と話します。
例えば、車上荒らしでは「足跡がここにあります。点々と車に続いているので恐らくこれが犯人の足跡かな」などと見立てをします。
現場の状況を瞬時に把握し、長年の捜査で培ったノウハウや高い技術を生かして足跡や指紋を採取。証拠を逃すことなく収集する高い集中力が求められます。
さらに 小林さんにはもう一つの顔があります。
事件の被害者や目撃者から特徴を聞き出して犯人の似顔絵を描く「似顔絵捜査官」です。県警には現在、約20人が在籍しています。
小林さんは、敦賀署時代描いた似顔絵が犯人の検挙につながったことが評価され、捜査官に任命されました。
「人間の記憶は20分経つと記憶の6~7割は消えてしまうという法則があるので、なるべく早く描く必要がある」と小林さん。「目撃者が言った言葉をそのまま絵に具体化、実現できるのが似顔絵捜査官だと思う」
福井署の後輩や同僚たちは「知らないことがない上司。何を聞いても教えてくれます」「似顔絵は小林係長が県警で一番上手に描かれている」と話します。
また、県民の警察官受賞を受けて「常に自分たちの先を行く先輩であってほしい」と期待されています。
後輩の育成にも力を入れる小林さんは「若手に知識や技能を伝えていきたいし、私自身もいつまでもこの鑑識の制服が着れるように体力をつけて、最後まで現場で頑張りたい」と話します。
小林さんは日々、緻密な仕事で地域の安心・安全を守り続けています。