仙台市は14日、戦災で焼失した仙台城大手門の復元に向けた基本構想(中間案)を公表した。
長年の懸案だった大手門復元が、具体的な工程と財源規模を伴う実施段階へ移行した。

構想では、2036年(伊達政宗没後400年)までの復元完了を正式な目標とし、
大手門本体の復元にかかる建築費「約15億円」を初めて提示した。

また、戦後に市民の寄付で再建された脇櫓(わきやぐら)は当面解体せず、内部公開を行う方針も明らかにした。
さらに、大手門の直下を通る市道について、2030年度ごろまでに車両通行制限が必要とする新たな論点も示された。

建築事業費単体で約15億円を初提示

今回の中間案では、復元事業のコストについて具体的な金額が初めて示された。
大手門本体の建築工事費は約15億円。

設計費、発掘調査費、周辺整備費を含めた総事業費は今後精査されるが、
仙台市は国の補助金の活用に加え、寄付やふるさと納税で財源確保を図る方針だ。

復元には市道の通行止めが不可避

大手門跡の真上を市道(仙台城跡線)が通っており、
市は復元工事の本格化に合わせて車両通行を止める必要があるとした。

通行制限の開始時期は2030年度ごろを想定。
対象は4路線に及び、青葉山エリアの移動動線が大きく変わる見込みである。

市は今後、交通量調査やシミュレーションを進め、影響を検証するとしている。

脇櫓は当面“残す”判断 内部公開へ

大手門南側に建つ現在の脇櫓は、1967年に市民の寄付で再建された建造物。
築50年以上が経過していることから、建て替えによる本格復元も議論されていた。

しかし市は今回、市民に親しまれる象徴的存在であることや、解体すると景観が長期間失われることなどを理由に、少なくとも2036年までは現状を維持する方針を示した。

脇櫓は改修を行い、大手門の復元工事期間中の展示やガイダンス機能を担う施設として活用する。

仙台放送
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