安倍元総理の銃撃事件で、殺人などの罪に問われている山上徹也被告。先月、弁護側の関係者に対し、「兄が自殺するまでは自分の人生を生きようとしていた」と胸中を明かしていたことが分かりました。

3年前、安倍晋三元総理を、殺害した罪などに問われている山上徹也被告(45)は、逮捕当時、「母が入信する旧統一教会とつながりがあると思い、安倍元総理を狙った」と供述していました。

初公判直前の先月上旬、山上被告は弁護側の関係者に対し、教団や信者を続ける母親への胸中を明かしていたことが分かりました。

■「旧統一教会は母の問題で、兄が亡くなるまでは、自分の人生を生きていこうと決意していた」

山上被告は「旧統一教会は母の問題で、兄が亡くなるまでは、自分の人生を生きていこうと決意していた。教団に恨みを募らせたのは、兄の死に対する母の理解が原因だ」と
弁護側の関係者に対して話していたことが分かりました。

弁護側によると、兄は母親の信仰に反対していましたが、母親は、兄の死後も信仰を続けていたということです。

弁護側の関係者は、関西テレビの取材に対し、母の態度を目の当たりにしたことで、「自ら復讐するしかないと思ったのではないか」と山上被告の心情を推測します。

一方、裁判で検察側は「生い立ちは刑罰を大きく左右するものではない」と訴え、計画性の高さなどを主張しています。

裁判はあす=13日から山上被告の母親が出廷する予定で、証言内容に注目が集まります。

■『やむにやまれぬ行為』の評価がポイント

元検事で弁護士の亀井正貴さんは“やむにやまれぬ”事情を裁判がどこまで共感するかが、今後の裁判のポイントだと指摘します。

【亀井正貴弁護士】「弁護側は兄までが統一教会の関係で死んでしまうという精神的ショックを受けたから、『やむにやまれぬ行為なんだ』ということにつなげようとしていると思う。

一方、検察側は『やむにやまれぬ行為』かもしれないが、恨みが統一教会に向かうのではなく、なぜ安倍元首相に向かうんだ?というところの争いになる。裁判員がどの程度共感するかがポイント」

また亀井弁護士は山上被告の母親の証言については「山上被告が話している旧統一教会を巡る活動で家族をこういう状況を追いやったという、母親当人の話として被告の供述を裏付けられるかどうかがポイント」だと指摘しました。

(関西テレビ「newsランナー」2025年11月12日放送)

関西テレビ
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