高配当をうたい無登録で株式の購入を勧誘した疑いで、東京都の会社役員の男ら3人が逮捕されました。
110億円を集めたとみられ、福岡の出資者が手口の実態を明かしました。
◆記者リポート
「車いすに乗った佐藤容疑者が出てきました。フードを深く被りうつむいたまま車両へと乗り込みます」
金融商品取引法違反の疑いで逮捕・送検されたのは、AIスマートカメラの開発などをうたう会社「メタモ」の代表・佐藤由太容疑者(41)です。
警察によりますと、佐藤容疑者は他に逮捕された飯塚裕子容疑者(67)、越田一徳容疑者(61)と共謀し、2021年、福岡県内に住む女性など4人に対し、国の登録を受けずに「メタモ」社の株式の購入を勧誘した疑いが持たれています。
そのうたい文句は…
「将来的に何百倍にもなって利益が出ます!」
佐藤容疑者ら3人は被害者4人に対し「将来メタモ社は証券取引所に上場する」「何百倍も利益が出る」などとうたって、合計1000万円を集めたということです。
「メタモ」社の代表佐藤容疑者とは、いったいどんな人物なのでしょうか。
《メタモのホームページより》
「人間を自由にするデータテクノロジー」
ホームページによりますと、佐藤容疑者は2017年に東京で「メタモ」社を設立。
創業からわずか2年で海外に拠点を開設するなど、事業を拡大したと書かれています。
起業家を自称していた佐藤容疑者は、自身の考えや想いをインターネットで公開していました。
《佐藤容疑者のnote 2020年1月16日》
「経営は社長に責任がある。これは間違いない。起業家は出資者を恨むことをしない方が幸せになると思う」
《佐藤容疑者のnote 2020年8月30日》
「天の邪鬼かもしれないが、僕は社内で『社長』と呼ばれるのを嫌う」
「普段の業務の中で『佐藤社長』と呼ばれると、時の流れが一瞬だけ止まったように感じる。社長は社長として堂々と胸を張っているべきなのだろうか」
起業家としてどうあるべきかなどの悩みも綴っていた佐藤容疑者。
警察によりますと、佐藤容疑者らは「メタモ」社の設立から2年後には全国の投資家に向けたセミナーを開催し、「グループ会社が国際企業に買収予定なのでメタモ社の株価も将来的に何百倍にもなって利益が出ます!!」などとうたって、全国の900人以上から株式の取得名目などで約110億円を集めていたとみられています。
「メタモ」社に出資した人は-
◆福岡県内在住 出資した人(40代)
「『株式を上場する』と。『まだ公開されていない株式を譲渡します』『公開される時はある程度の倍率になる』」
Q.出資額は?
「約1000万円です」
そして、オンライン上で佐藤容疑者からも説明を受けたといいます。
◆県内の出資者(40代)
「かなり信ぴょう性が高い。手が込んでいる。登場する会社の名前など、真偽の部分で考えても信ぴょう性が高い。あんまり疑うようなことはなかった。(佐藤容疑者は)東京大学やJAXAなどプロフィールに書いてあったが、よくよく聞くと虚偽だった。そういうデータも信ぴょう性に拍車をかけた」
そして…
「メタモ社の株式を購入したが連絡が取れなくなった」
2021年10月、別の出資者の男性が「メタモ」社の株取引について大牟田警察署に相談したことから事件が発覚したということです。
警察は3人の認否を明らかにしていません。
警察は全国の出資者から集めた資金の流れなど実態の解明を進めるとともに、詐欺容疑も視野に捜査しています。