北海道・知床沖で2022年に起きた遊覧船の沈没事故で、運航会社社長の初公判が開かれています。
北海道・釧路地裁前から江上太悟郎キャスターが中継でお伝えします。
業務上過失致死の罪に問われている運航会社社長・桂田精一被告は開廷30分前に釧路地裁に到着し、正面で4秒ほど一礼してから中に入っていきました。
初公判の冒頭で、桂田被告は家族に謝罪した上で、当日の運航は船長と協議し「荒れる前に引き返す」と言っていたので「それならいいだろう」と思ったと述べました。
さらに「私には罪が成立するか分かりません、法律家にゆだねるしかありません」と認否を保留した発言をしました。
起訴状によりますと、桂田被告は2022年4月、悪天候が予想される中、業務上の注意義務を怠り、遊覧船「KAZU I」を沈没させ乗客乗員20人が死亡、6人が行方不明となる事故を起こした罪に問われています。
今回の裁判での争点は「事故を予測できたかどうか」です。
弁護側は「事故を予見することはできなかった」として無罪を主張し、一方で検察側は「予見ができた」と対立しています。
--12日の廷内での桂田被告はどのような様子だった?
入廷してから一礼をして、その後、何分間かの間に乗客の家族、検察側に向けて何度も頭を下げていました。
さらには検察側から出された証拠を食い入るように見つめていましたが、終始、淡々としていた印象です。
一方で、遊覧船の乗客であった息子の帰りを待つ男性に話を聞くと、「船の不具合を知らなかったから悪くないという弁護側の主張に憤りを感じています。仕事もできない精神状態が続いていて、時の流れも感じないほど」と話しました。
また、「ただ節目になるとこんなに時間がたったのだなと思う。時間は経てど、私の中には7歳のままの息子で止まっている」と涙を流し、計り知れないつらく悲しい日々を明かしてくれました。
判決は2026年6月に言い渡される予定です。