11月2日、大倉山ジャンプ競技場(北海道札幌市)で行われた第104回全日本スキー選手権ラージヒル兼NHK杯。北海道下川町出身の53歳“レジェンド”葛西紀明選手(土屋ホーム)が4位に入り、W杯の下部にあたるコンチネンタル杯の代表入りを確実にしました。
助走路が氷で作られている冬仕様のアイストラックで行われた今大会で葛西選手は1回目、不利な追い風にも関わらずK点(=123メートル)を越える124.0メートルを飛び4位につけます。2回目もぐんぐん飛距離を伸ばし、129.0メートルをマークします。合計260.1点で4位と好成績を残し、肌寒い中会場につめかけた観衆の心を熱くさせました。すでに国際大会出場資格を満たす選手を除いた上位2位に入り、コンチネンタル杯の代表切符をほぼ手中に収め、26年のミラノ・コルティナ五輪出場に望みをつなぎました。“不屈のレジェンド”が五輪代表入りを果たすためにはコンチネンタル杯からW杯代表に昇格し、さらにW杯でも結果を残すことが絶対条件となります。常々、「調子を上げて絶好調になればW杯メンバーに食い込める“自信と期待”はある」と語っていた葛西選手の活躍から今後も目が離せません。
男子は北海道江別市出身の二階堂蓮選手(24)が逆転優勝を飾り、女子は長野県出身の丸山希選手(27)が2回ともトップの得点で優勝を果たしました。
◆試合後 葛西紀明選手コメント
「すごいわ。さすがレジェンドだ(笑)。W杯メンバーの次ですから。うれしいですし、本当めっちゃ緊張したんですよ。(ジャンプ台の)上で(心臓の)鼓動がドキドキって鳴るのも感じていたし、でもここで勝たないとコンチネンタル杯もW杯もないなって言い聞かせて飛んで、失敗なく飛べてほっとしています。長い計画でこの試合に合わせるってやってきたのでその通りになりましたし、コンチネンタル杯で総合3位に入ればW杯に出場できるっていう切符があるので、そこを狙っていきたい。」
Q.その先のオリンピックは
「W杯メンバーになってからオリンピックのメンバーが見えてくるんじゃないかなと思うので、今はまだ小さい目標として見え隠れしていますね。」
Q.コンチネンタル杯で総合3位に入るためには
「自分のジャンプをあと5メートルですね。コンチネンタル杯も非常にレベルが高いので中々勝つのが難しいんですよね。なので失敗は絶対にしちゃいけないですし、去年散々経験してきたので、もう5メートル伸ばさないとトップ3には入れないんじゃないかなと思っているのでそのへんが課題。」
Q.しびれる試合が続く
「本当、嫌です(笑)。今日とか嫌だったもん、本当に。緊張してこの場にいたくないな~とは思っていたんですけど、飛び終わって成績が出るとめちゃくちゃうれしいですね。このためにやっているような気もしますし、海外に行けばそんなに緊張感はないと思うのでもう少しリラックスして飛べるかなと思います。」
Q.10月31日の公式練習では「まだ本気じゃない」と話していたが
「まだ60パーセントくらいですね。これからです。」
◆第104回全日本スキー選手権ラージヒル兼NHK杯結果
【男子】
優勝 二階堂蓮(日本ビールスキー部) 290.9(137.5m 134.0m)
2位 小林朔太郎(雪印メグミルクスキー部)284.4(138.5m 132.5m)
3位 内藤智文(山形市役所)281.3(133.0m 133.0m)
4位 葛西紀明(土屋ホームスキー部)260.1(124.0m 129.0m)
5位 佐藤幸椰(雪印メグミルクスキー部)258.1(124.0m 132.0m)
【女子】
優勝 丸山希(北野建設SC)262.4(127.5m 129.5m)
2位 宮嶋林湖(松本大学)251.9(127.0m 127.5m)
3位 一戸くる実(雪印メグミルクスキー部)232.0(120.5m 119.0m)
4位 高梨沙羅(クラレ)230.0 (121.0m 120.0m)
5位 伊藤有希(土屋ホームスキー部)225.3(129.5m 111.0m)