今や日常生活に欠かせない存在となっているスマホ。
そのスマホが傷つかないように、手帳型やプラスチック型などスマホケースを使っている人も多くいるだろう。

そんなスマホケースの中には、大量のカビが発生しているケースがあるということをご存じだろうか。

カビの研究を続ける大阪市立自然史博物館の外来研究員、浜田信夫さんの調査によるとスマホケースを使う人の約4割のスマホケースにカビが発生しているという。特に30代以上の男性に多いそうだ。

なぜスマホケースの中にカビが発生してしまうのか?ジメジメする梅雨の時期は特に気をつけた方がいいのか?人体に影響はないのか?いろいろ気になるので、浜田信夫さんに詳しく話を聞いてみた。

最も多いものは個体数56万のカビ…

大阪市立自然史博物館 外来研究員 浜田信夫さん
大阪市立自然史博物館 外来研究員 浜田信夫さん
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――そもそも、なぜスマホケースのカビに注目した?

元々、私の専門の研究が住環境のカビで、洗濯機やエアコンのカビなどを主な研究対象としています。
スマホも今や生活する上で手放せないものになっています。
学校で講義をしていることもあり、学生にお願いすれば、サンプルも集まりやすかったため、2014年から研究を始めました。

――どんな実験を?

スマホカバーの内側全体を生理食塩水を浸した綿棒で拭います。
付いた汚れを希釈して寒天培地へ植え付け、カビの個体数を測定します。
これを116台のスマホカバーで行いました。

――結果は?

116台のスマホカバーのうち48台でクロカワカビ、コクショクコウボなどが検出。
32台が(個体数)100未満。100~1000台が10台。1000~10000が2台。
1万以上は4台。最も多いものは56万ありました。

クロカワカビ
クロカワカビ
コクショクコウボ
コクショクコウボ

――この結果について、率直な感想は?

スマホカバーは今まで調べたことがなかったので、新しい世界にカビが出現したことに驚きました。
現代人が持つ小世界にカビが侵入したことが興味深かったですね。

汚染例 
汚染例 

梅雨より春や秋の方が繁殖しやすい

――なぜスマホケースにカビがいたと考えられる?

カビというのは、水がたまった状態から3日程度しないと発生しません。
ケースの中は、スマホ本体よりも埃がたまりやすい場所です。
ケースの中の毛埃などに、水滴や汗などが入り、カビが発生したのでしょう。

――梅雨の時期、スマホケースのカビは大量繁殖することはあるのでしょうか?

カビは涼しい時期に繁殖します。
梅雨というよりは、春や秋のほうが繁殖しやすいです。30度を超えるとカビもバテます。
これから暑くなるので、カビは夏バテします。

――使用状況についても研究しているそうだが、 どんな人のスマホケースにカビが多い?

男女比だと、女性のスマホカバーの平均個体数は24、男性は28.8と男性の方が多かったです。
年齢でみると、10代の20.2に比べ、30代以上の47.3で年齢が高い人の方が多い。
収納場所では、かばんの20.7、胸ポケットの23.8よりズボンのポケットの32.5が多いということはわかりました。30代以上のおじさんのスマホカバーが汚いということですね。

人体への影響は?

――スマホケースのカビは、人体に影響はない?

カビによる人体の影響は、「食べてカビ毒になる場合」と「胞子を吸い込んでアレルギーになる場合」の2点。
どちらになることもないでしょう。

――研究結果で、スマホカバーからケナガコナダニが発生したとあるが、 このダニは人体に影響はないのか?

人を刺すダニはツメダニです。
ケナガコナダニは人を刺すことはないので、特に影響はありません。

――ということは、スマホケースにカビがいても、特に問題ないということ?

人体に影響はありません。
しかし、スマホカバーの中にカビがいるのは不潔でしょう。
常に使うものが、カビだらけというのはいかがなものかと思います。

――対策は?

定期的に除菌のウェットティッシュで拭くなどして欲しいですね。


人体に影響はないというものの、スマホケースの中に大量のカビが発生していることを想像すると、いい気はしない。
よく触るものだからこそ、定期的に掃除して、清潔な状態を保ちたい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。