白昼、多くの人が行き交う路上での凶行

顔を隠すことなく前を見据え、警察署を出て行く男。男はこの前日、元交際相手の女性の首元を包丁で刺し、現行犯で逮捕された会社員の水元義人容疑者(35)。

埼玉・越谷警察署を出る水元義人容疑者 10月1日
この記事の画像(6枚)

事件は9月30日、通勤する人や近くの小学校に子供を送り終えた保護者など、多くの人が行き交う路上で起きた。

埼玉県警・越谷警察署には午前9時過ぎから複数の110 番通報が入っていた。

最初は「男性と女性が大声でケンカしている」というものだったが、次の通報で「男女が取っ組み合いのケンカをしている」というものに変わった。そして、午前9時10頃に入った通報では「血だらけになった女性が倒れている」というものになり、一気に、殺人事件の様相となった。

事件を目撃した人はその異様な光景をこう語っている。
「女性の首辺りからは大量に血があふれていたが、男は右手に包丁を持って、左手で女性を抱きかかえるように支えていた。その姿はまるで2人が恋人同士のような光景だった」

また、別の目撃者は「男が女性を抱きかかえているので、最初は女性を助けている人なのかと思った。男性が慌てているとか、興奮しているとか、そういった事が一切なかった」と話した。

刺された女性は事件現場から約150メートル先の携帯電話販売会社に勤務する石沢里美さん(23)だった。石沢さんは病院へ搬送されたが、その後、死亡が確認された。

死亡した石沢里美さん(23)

包丁は事前に用意、「復縁断られたので殺した」

水元容疑者は石沢さんと同じ職場で働いていた元同僚で、現場に駆けつけた警察官に対し、「復縁を迫ったが断られたので殺した」と、その動機を話した。

水元容疑者は12歳年下の石沢さんとの関係について、「去年9月から今年7月まで交際していた」と供述。一方で、水元容疑者を知る関係者に話を聞くと、水元容疑者はこれまで2人の女性と結婚していて、2人目の女性とは別居をしているが今も婚姻関係にあり、さらに複数の子供もいるという事だった。

水元義人容疑者

水元容疑者は犯行に使用した包丁について「事前に用意していた」と話していて、捜査幹部は「犯行現場まで車で乗り付け、石沢さんの通勤を待ち伏せしていることから、事件は突発的に起きたのではなく計画性があったはず」と話す。

「運命の人」と親族に話す

水元容疑者は妻子ある立場で、なぜ元交際相手の石沢さんを殺害したのか。その動機に関わる部分について水元容疑者の親族が次のように語った。

「水元容疑者は2人目の奥さんとは別居はしていたものの、まだ籍は抜けていない状況の中で、石沢さんと交際をしていた。石沢さんも水元容疑者に奥さんや子供がいたことは知っていた。水元容疑者は事件前、石沢さんについて、「運命の人」と話していた。2人目の女性と正式に離婚ができれば、結婚することも考えていたと思う。しかし、その関係も今年に入り、石沢さんから別れを告げられる形で終わりを迎えた。」

殺害した石沢さんを「運命の人」と打ち明けていた水元容疑者。その関係は、石沢さんから別れを告げられる形で終わっていた。

事件前日、水元容疑者はSNSを通して石沢さんに「会いたい」というメッセージを送るが、石沢さんから断られている。

その翌日、水元容疑者は事前に用意した包丁を持って車に乗り、石沢さんを待ち伏せし、犯行に及んだとみられている。

「彼女を殺して自分も死のうと思った」 

警察の調べに対して、水元容疑者は、「彼女を殺して自分も死のうと思った」と供述している。12歳年下の女性を「運命の人」と言っていた男のあまりにも身勝手な犯行。

水元義人容疑者

現場周辺の防犯カメラには水元容疑者の卑劣な犯行の一部始終が映っていた。警察は自宅の家宅捜索などを行い、犯行の動機や事件当時の状況を詳しく調べている。

埼玉県警担当 河村忠徳