インフルエンザ流行拡大中
インフルエンザの流行が拡大している。
厚生労働省が11日に発表した12月31日~1月6日までのインフルエンザ発生状況によると、全国の推計患者者数は前の週に比べて約1.5倍となった。
定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数を推計すると、約58万6000人となり前の週の推計値、約44万6000人から14万人も増えている。
できればインフルエンザには感染したくないものだが、万が一、感染してしまった場合、学校保健安全法では、「発症した後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまで」を出席停止期間と定めている。
学校と違い、就業規則は会社ごとのルールなので一概には言えないが、これを目安として、同じように定めている会社も多いかと思う。
就業規則で“5日欠勤”するなど、会社を思いがけず長く休んでしまった場合に知っておきたい制度が「傷病手当金」。病気やけがで会社を休んだときに、健康保険からお金が支給される制度だ。
ただし、受給するにはいくつかの条件があるのだという。
そこで、その条件や受給するときのポイントを社会保険労務士の井戸美枝さんに聞いた。
有休などで給料が支払われている場合は受給できない
――傷病手当金とはどのような制度?
インフルエンザなどの病気やけがなどで長期療養をしたときに給料をもらえないと困りますよね。
こういう場合に、健康保険からお金が支給される制度です。
対象になるのは、健康保険に加入している本人だけで、家族は対象になりません。
――傷病手当金をもらうための条件は?
病気やけがなどで連続して3日、休んでいることです。
その後、会社を休んだ4日目から傷病手当金が支払われます。
ただし、有休休暇などで給料が支払われている日に対しては、傷病手当金は支払われません。
標準報酬日額の3分の2が支給される

――傷病手当金が支給される期間は?
支給開始日から最長1年6ヵ月です。
これは、1年6ヵ月分が支給されるということではなく、支給開始後に、再び同じ病気やけがによって会社を休むようなことになった場合に支給の対象となる期間です。
また、会社の福利厚生で期間が長くなるケースもあります。
――支給される金額は?
標準報酬日額の3分の2が、一日休むごとに支給されます。
たとえば、日給が1万円の人の場合は6,667円。
ただし、会社の福利厚生で金額が上乗せされるケースもあります。
また、会社によっては欠勤でも給料の一部を支給するところがあるのですが、このような会社に勤めている場合は、差額が支給されます。
たとえば、日給1万円の人に、会社が5,000円支給する場合は、差額の1,667円が健康保険から傷病手当金として支給されます。
同じ人が会社から7000円が支給される場合は、標準報酬日額の3分の2を超えるので、傷病手当金は出ません。
使える有給休暇がない場合におすすめ
――インフルエンザに感染しても、有給休暇を使えるなら、傷病手当金を使う必要はない?
必要ありません。
ただ、中には、近いうちに会社を辞めるつもり、旅行に行きたいなどの理由で有給休暇を使いたくない人もいます。
――インフルエンザに感染したら、どういう状況であれば、傷病手当金を使った方がいい?
会社に入りたての人や有給休暇をすでに消化してしまっている人など、使える有給休暇がない人には、使うことをおすすめします。
会社が傷病手当金を知らないケースがあるので要注意
――傷病手当金はどうやって申請すればいい?
会社が申請するものなので、会社の総務などに言って、手続きをしてもらってください。
――申請するうえでの注意点は?
小さな会社だと、傷病手当金のことを知らないケースがあるので、注意が必要です。
こういった場合は、自分で会社に「傷病手当金を使いたい」と言いに行ってください。
インフルエンザに感染してしまった場合、有給休暇を使えるならそれに越したことはないが、有休を消化しきっているなど、何らかの事情で利用できないこともある。
そういったときには、「傷病手当金」の申請を検討してみてはいかがだろうか。