東京都内の大学に通う熊谷優季さん(22)が博多港からフェリーに乗り、向かったのは長崎県の壱岐。

実は夏休みを利用した単なる旅行ではない。

熊谷優季さん(22)
熊谷優季さん(22)
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「お手伝い」と「旅」を組み合わせた「おてつたび」

これは交通費無料、宿泊費も無料、さらに街まで活性化される新たな旅の形なのだという。

壱岐に到着し、まず向かったのは平山旅館。
荷物を置いて観光に行くのかと思いきや...熊谷さんは、作務衣(さむえ)に着替えて食器運び。

熊谷さんが利用したのは、「お手伝い」と「」を組み合わせた「おてつたび」というマッチングサービス。

平山旅館の若女将・平山真希子さん:
私どもの旅館は平均年齢が60歳で、力仕事も多くあるので、若手の力がほしいと思って募集しました

平山旅館の若女将・平山真希子さん
平山旅館の若女将・平山真希子さん

旅と手伝いを両立し地域の暮らしを体験

人手が足りない施設や地域と気軽に旅をしたい人とをつなぐ「おてつたび」。

熊谷さんはどうして「おてつたび」に参加しようと思ったのだろうか?

熊谷優季さん:
地域のそこで暮らしている方とコミュニケーションをとったりして、いろんなお話を聞いたり、一緒に仕事させてもらったりして、地域の暮らしを体験したい

今回、熊谷さんは10日間の「おてつたび」に参加。午前中は、掃除や配膳、畑に食材を収穫しに行くなど旅館の手伝いをするが、昼間は自由時間。

食材を収穫
食材を収穫

遊覧船に乗ったり、壱岐でも有名な小島神社に訪れたり、観光を楽しんだ。

小島神社を観光
小島神社を観光

夕方からは、再び夕食の支度や配膳など、旅館の手伝いを行い、旅と手伝いを両立させる。

夕方からは旅館の手伝い
夕方からは旅館の手伝い

「おてつたび」の一番の特徴が“旅費がかからない”こと。
今回の場合、熊谷さんは旅館の従業員宿舎に泊めてもらったので、宿泊費は無料。
まかないが3食出るため、食費もかからない。

さらに、旅館から熊谷さんに4万5000円が支給され、それを壱岐までの交通費や観光費用に割り当てた。

壱岐のPRになれば大成功

一方の旅館側は、従業員を雇うのではなく、わざわざ県外から「おてつたび」に来てもらうメリットについて…

若女将・平山真希子さん:
壱岐の島を知ってもらいたい。島外の方からの新鮮な目線で壱岐を知ってもらって、壱岐のPRになればと思う。おてつたびに来た壱岐を知らなかった人が、『すごくいい』と言って帰ってくれたので島として自信は持っていたが、実際にそれを実感できたし、『今度、友達連れて来るよ』と言ってくれたので、そういった意味でも大成功かな

「おてつたび」をきっかけに壱岐を知ってもらい、さらには壱岐のファンになってもらえれば、地域の活性化につながると期待を寄せる。

観光・アルバイト・コミュニケーションを楽しむスタイル

三田友梨佳キャスター :
「おてつたび」、山崎さんはいかがですか?

コミュニティーデザイナーの山崎亮氏:
観光とアルバイトの合わせ技というスタイルですね。自分たちが行ってみたいと思うところに実質無料で旅が出来ているので若い人には特に魅力的ですね。団体旅行で大勢で回ることに飽きた人たちは個人で回るけど、これは面倒なところもある。また、この両方に共通しているのは、地域の人と会話する機会が少ないこと。今回のスタイルだと、人々と関係性を作っていくことができると思います

山崎亮氏
山崎亮氏

三田友梨佳キャスター :
そういったところで「観光から関係へ」?

山崎亮氏:
従来の観光ではなく、地域の方との関係性を作っていく旅行の在り方。その一つとして働きながら、人々とのコミュニケーションを楽しみつつ観光していくスタイルが出てきたと思います

三田友梨佳キャスター :
地域の活性化に詳しい山崎さんから敢えてアドバイスするとしたら、どういったところですか?

山崎亮氏:
丁寧に進めていく必要があると思います。仕事をするわけですから、どんな人たちが行くのか、どんなところで働くのか、きっちり進めていく必要がある。どんどん広げてたくさんの人がやればいいという話ではないと思います

(「Live News α」10月3日放送分)