2023年にウイスキー造りをはじめた遊佐町の蒸留所が2025年新たに、施設の「見学ツアー」を始めた。そのねらいと今を取材した。

遊佐町にある月光川蒸留所。小規模なウイスキー蒸留所として2023年に誕生した。
大麦麦芽を原料に単一の蒸留所で作られるシングルモルトウイスキーの販売を2027年から予定していて、毎日仕込みが行われている。

そんな月光川蒸留所で始まったのが「見学ツアー」。

(月光川蒸留所営業部・塚形直記課長)
「ウイスキー蒸留所が日本でも100社を超える段階になっていて、我々の特徴をどうアピールするか考えた時に、実際に蒸留所に足を運んでもらって、我々のウイスキー造りの現場を見てもらうのが一番ファンになってもらえるのではないかと思い、見学ツアーを始めた」

ウイスキーの販売はまだ始まっていないが、自社の特徴の発信のため、2025年1月から見学者の受け入れを始めた。
見学の受け入れは企業・一般を問わない。

この日訪れていたのは、業務用酒類の卸売販売を手がける会社のスタッフ4人。

(吉田酒店・吉田直史取締役)
「我々仙台の酒販店で、隣の山形でこうした活動をしていることを知って勉強させてもらおうと来た」

吉田酒店は仙台市内の飲食店600店と取り引きがあり、扱う酒はワイン・ウイスキーなど1万点を超えるという。
この日は会社のラインナップに山形産ウイスキーを加えたいと、仙台から3時間かけて遊佐町の蒸留所を訪れた。

(月光川蒸留所営業部・塚形直記課長)
「この麦芽をセッティングして開始A・Bのボタンを押すだけという形」

ウイスキー製造に使う大麦の破砕から麦汁の作り方、その後の蒸留の過程まで、月光川蒸留所のスタッフが詳しい説明を行う。

(月光川蒸留所営業部・塚形直記課長)
「こちらはきょう仕込んだ麦汁・もろみ。3日で発酵するので、2日目のいま泡がボコボコ出ている状態」

ウイスキーの仕込みの現場は夏場、高温になり、見学をする人はその場にいるだけでも暑くて大変だが、仙台から訪れた酒販店のプロたちは目の前で作られているウイスキーの出来が気になるよう。

「(香りを確かめて)本当だ。すごい」

最後は試飲の時間。3年以上、樽で寝かせないと名乗れないジャパニーズウイスキー。
2023年から製造を始めた月光川蒸留所には、正式なウイスキーはまだ存在しない。

試飲では「ニューポット」と呼ばれるウイスキーの原酒やミズナラなどの素材で出来た樽に仕込んだ熟成中の酒などが提供され、4人はその深い味わいを確かめていた。

(吉田酒店総務部・小野誉幸係長)
「ミズナラ(樽)の加水した時のふくらみが良くて、樽の味わいがおいしいと思った」

(吉田酒店営業部・佐野一樹さん)
「小さいミニマムでウイスキー生産をやるからこそできる酒へのこだわりがすごく見えて、新鮮な気持ちだった」

(吉田酒店・吉田直史取締役)
「実際に作っている人の顔が見えると、その人たちの思いなどストレートに伝わってくる。味わいや思いがよりストレートに伝わると感じた」

遊佐町の小さな蒸留所がはじめた見学ツアー。
開催日は月・水・金・土が基本となっていて、事前予約制で定員6人まで。
20歳以上の人は1人5500円だが、蒸留所の見学と試飲、さらに見学者限定のギフトを受け取ることができる。

月光川蒸留所製のウイスキー販売は2027年からで、現段階で商品はないが、発売前のウイスキー蒸留所を体験してみるのはいかがだろう。
見学ツアーは事前予約が必要で、月光川蒸留所のホームページから申込みができる。

さくらんぼテレビ
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