参院選宮城選挙区(改選数1)は、終盤にかけて構図が大きく変化した。当初は、立憲民主党の現職・石垣のり子氏と、自民党の新人・石川光次郎氏による一騎打ちが有力視されていたが、選挙戦が進むにつれ、参政党の新人・ローレンス綾子氏の台頭が両党の陣営に「危機感」として広がった。
選挙戦が本格化する前の6月ごろから、自民・立憲の両陣営には「ローレンス氏が支持を伸ばしている」という声が聞かれるようになった。公示後には、参政党のポスターが県内の掲示板に一気に貼られ、その展開の早さに「自民並みだ」と驚く声も自民党県議からあがったという。
特に若年層を中心に支持を広げ、草の根での支援者の組織化が急速に進んだ。出口調査でも、20代でローレンス氏が35%の支持を集めるなど、都市部を中心に参政党の存在感は無視できないものとなった。
選挙戦最終盤、立憲民主党の安住淳衆院議員は「異常な選挙戦だった」と語り、参政党の掲げる「日本人ファースト」というスローガンに危機感をあらわにした。石垣氏もまた最終日のマイク納めで、「人権ファースト」の立場を強調。多様性と共生を訴え、排外主義的な言説とは一線を画す姿勢を貫いた。
参政党の勢いが増すにつれ、石垣氏のメッセージはその対極として際立ち、有権者の中で明確な選択肢として支持が広がったとみられる。結果的に宮城選挙区は、自民・石川氏と参政党・ローレンス氏が保守票を奪い合う展開となり、出口調査では石垣氏が33%でトップ、石川氏が25%、ローレンス氏が21%と続いた。
石垣氏が無党派層と高齢層を固め、保守層の分断に助けられる形で議席を守ったとも言える。
※数字は仙台放送の出口調査より