「しっかり研いだ包丁を使うと、お刺身や野菜などは切断面がツヤっと仕上がり、料理の見た目がよくなります。また、食材の細胞を押しつぶさずに切断できるので、食材の味わいも良くなります」
貝印と慶應義塾大学発のベンチャー企業が行った共同調査によれば、切れ味の落ちた包丁を使うと、マグロはうまみが減って苦味が増加。ピーマンは苦味と酸味が増加。トマトは、押しつぶされることによって水分が出て、うまみも減ったという結果となった。

包丁研ぎにはハードルの高さを感じる人が多いだろうが、数多くの包丁研ぎ講座を行ってきた林さんは、「手順やポイントをきちんと踏まえれば、ほぼ全ての方が自分で包丁を研げるようになるはずです」と話す。
「『包丁をダメにしそう』と心配される方もいらっしゃいますが、中砥石の包丁研ぎで1回や2回失敗しても包丁は簡単にダメにはなりません。ぜひ積極的に包丁研ぎにチャレンジしてください」
取材・文=古澤誠一郎