特集は最後の演奏会です。新型コロナウイルスの影響で発表の場を次々と失った小諸高校吹奏楽部。先日、ようやく演奏会を開くことができました。3年生は最後の演奏披露。涙あふれるステージとなりました。

リズミカルなポップスに、優雅なクラシック。9月20日に開かれた小諸高校吹奏楽部の定期演奏会です。

新型コロナウイルスの影響で、コンクールやイベントは次々と中止され、これが今年最初で最後の演奏会。そして、3年生にとっては、高校生活を締めくくる「ラストステージ」となりました。

小諸高校吹奏楽部は、過去10年間の県大会で5回優勝しています。しかし、東海大会では上位3校に入れず、全国大会への出場はありません。今年こそ「初の全国へ」と意気込んでいましたが、夏のコンクールは新型コロナウイルスの影響で中止されました。

小諸高校吹奏楽部の部長(6月取材):

「まだ実感がないというか不思議な気持ち」

休校を経て6月に部活動を再開しましたが、感染予防のため全体練習は見送られ、屋外などでのパート練習が続きました。

部員75人での全体練習が再開されたのは8月中旬。延期となっていた定期演奏会の開催も決まり、ようやく発表の機会がめぐってきました。

30分に一回換気をしたり、練習時間も1時間程度に制限したりと注意を払いながらの練習ですが、部員は喜びをかみしめていました。

小諸高校吹奏楽部の部長:

「3学年で合わせたときの喜びは、やれてよかった、今まで続けてきてよかったと」

ファゴット担当・久保田樹さん(3年):

「最後の3つの音で持っていく感じがもっと出るといいかな。もう1回お願いします」

音楽科3年でファゴット担当の久保田樹さん。3日後に迫った演奏会に向け、パート練習で細かな音程やリズムを確認していました。

ファゴット担当・久保田樹さん(3年):

「思うように活動できない時期が長く続いて、今こうして演奏会にみんなで向かえていることがとても幸せ」

久保田さんは長野市の自宅から片道1時間半をかけて通学しています。朝の練習がある時は午前5時台の「始発」に乗ってきました。

吹奏楽経験者の両親の影響もあり、中学からファゴットに打ち込んできました。娘をずっとそばでサポートしてきた両親は…。

母・清絵さん:

「子どもと同じように『どうして、今年』とか、『なんで』って思ってしまいましたよね…。切り替えられるように声をかけたつもりなんですけど」

父・盛雄さん:

「親ができることは限られてしまうので。子どもたちが先生と一緒に(新型コロナの影響を)いろいろ乗り越えたんじゃないか」

ファゴット担当・久保田樹さん:

「最初で最後のステージなので、集大成が見てほしい人に見てもらえることは楽しみ。近くで一番支えてくれたのが両親だったので、支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを持って演奏したい」

母・清絵さん:

「聴く方も全身全霊で。保護者は(涙を拭く)バスタオルを持っていくから」

9月20日、演奏会当日。会場には保護者や関係者およそ400人が詰掛けました。

いよいよ3年生最後の舞台が幕を開けました。この日は15曲を披露。

コンクールの自由曲「宇宙の音楽」では、3年間の思いがあふれて涙を流す生徒の姿もありました。

ファゴット担当・久保田樹さん:

「感無量という感じです。たくさんの人に支えられてここまで来て、終わった後の景色はきっと一生忘れない。最後までちゃんと演奏しようと思っていたんですけど、泣いてしまって…(笑)。吹けないところもあったが、みんなの思いが詰まったいいステージにしようと思っていたので、それがかなってうれしい」

母・清絵さん:

「いい演奏会で…よかった、本当によかった。樹の顔を見ていたら全部表れているというか全部の思いが表れたいいステージだった」

ファゴット担当・久保田樹さん:

「部活動を続けてこられたのも両親の支えがあったからこそだし、この演奏を伝えたかったのが両親なので、今の言葉を聞いて伝えられたかなと、よかったです」

新型コロナウイルスに発表の場を次々と奪われた3年生。秋になってようやく集大成のステージに立つことができました。