御嶽山の噴火災害で息子を亡くした父の思いです。面影を求めてこの夏、御嶽山・山頂の息子が最期を迎えた場所に初めて立った長野県東御市の男性。27日は息子の慰霊と山の安全を願って「千羽鶴」を捧げました。

追悼式会場を訪れた東御市の荒井寿雄さん。携えたバッグの中身は…。

東御市・荒井寿雄さん:

「千羽鶴を、あまり出来はよくないけど」

あの日、次男の真友さんを亡くした荒井さん。数か月かけて自分で折った「千羽鶴」を慰霊碑に捧げました。

東御市・荒井寿雄さん:

「うちの子どものことを思い出しながら折ってやれば、子どもの霊も少しは喜んでくれるかな」

真友さんが発見されたのは山頂の剣ヶ峰付近。遺品のカメラには噴火直後の様子が残されていました。

荒井寿雄さん(2016年の会見):

「(夢で)『お父さん、僕、山の上にいるからね』って。会うつもりで(慰霊登山に)行ってきます」

「息子に近づきたい」。その一心でこれまで慰霊登山に参加してきましたが、剣ヶ峰は規制が続き、去年は膝を痛めて延期を余儀なくされました。

膝のリハビリを重ね、先月、荒井さんはようやく剣ヶ峰へ。真友さんが倒れた場所に初めて立ちました。

生きていたら迎えていたはずの年齢と同じ46羽の折り鶴と、好きだったコーラ飲料を供えました。

東御市・荒井寿雄さん:

「それこそ一日千秋の思いでやっときょう来られてよかった。真友もお父さん来てくれたねと喜んでくれていると思う」

その日の登山には、真友さんと一緒に登った同僚2人も同行し、荒井さんは当時の様子を聞くことができました。

同僚:

「(真友さんの)足とかも火山灰掘ったんですけど、どうしても足首から先ががれきと灰とでぐしゃぐしゃで足が抜けなくて」

東御市・荒井寿雄さん:

「本当に2人とも…」

同僚:

「(一緒に帰れず)本当に申し訳ございません」

東御市・荒井寿雄さん:

「皆さんのせいではないから…。いい友達をもってうらやましいくらい幸せだと思う」

息子を奪った山。でも、悲しい思い出だけの山になってほしくない。荒井さんは息子のために折った千羽鶴に「みんなに親しまれる御嶽山になって」とメッセージを添えました。

東御市・荒井寿雄さん:

「知らない間に年月がたっていってしまう気もするけど、考えてみれば碑もできたし登山道がよくなったとかシェルターができたとか、いい面をみて私たちの心もいやされていく気がしている。せっかく御嶽に登って楽しんで、ああいうことになってしまったんだから、せめてみんなに親しまれる、地元の皆さんにも喜ばれる山になってほしい」