3択の住民投票は2001年に新潟県刈羽村で実施

2月24日に予定されている、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古移設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票。

この県民投票をめぐっては、普天間基地を抱える宜野湾や宮古島・沖縄・石垣・うるまの5市が、「賛成」「反対」の2択では、県内移設はやむを得ないとする意見が反映されず、民意が正確にはかれないなどとして、参加しない意向を表明していた。
これを受け、県議会の各会派が県民投票の選択肢を「賛成」「反対」に、「どちらでもない」を加えた3択にすることで合意。県内すべての自治体で実施される公算が大きくなった。

沖縄・名護市辺野古

3択の住民投票は異例ではあるが、過去に全くなかったわけではない。

その一つが、2001年5月27日、新潟県の刈羽村で投開票が行われた、「東京電力 柏崎刈羽原発3号機のプルサーマル計画の是非を問う住民投票」。

「賛成」「反対」に、「保留」を加えた3択で実施されたのだが、どのような理由で3択になったのか?3択にすることにはどのような思惑があるのか?
刈羽村役場の担当者に話を聞いた。

「反対」多数で計画は取り消しに

――プルサーマル計画とは?

ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)を燃料として、従来のウラン燃料と同様に軽水炉で利用する計画のことです。


――3択で実施された住民投票、結果はどうなった?

「賛成」「反対」に、「保留」を加えた3択で実施され、開票の結果、「反対」1925票、「賛成」1533票、「保留」131票で、反対票が投票総数の53%を占めました。

東京電力柏崎刈羽原発

――「賛成」「反対」「保留」という3択で実施した理由は?

当時の担当者や担当課長はすでに退職あるいは他界しているため、理由は分かりませんでした。


――「反対」多数という結果を受けて、その後、プルサーマル計画はどうなった?

結論から言いますと、プルサーマル計画は取り消しとなりました。

2001年6月、村議会で「プルサーマル計画受け入れの是非を問う住民投票結果に関する決議」が否決されましたが、その後、プルサーマル計画に関する意見交換などが行われ、2002年7月~8月にはプルサーマル計画に関する対話集会が開催されました。

ところが、その対話集会の最中である2002年8月23日、柏崎刈羽原発3号機のシュラウド(=原子炉の炉心を構成する燃料集合体や制御棒を円筒状の金属で包む構造物)にひびを確認。

対話集会の最終日の8月29日には、東京電力から、いわゆる「点検・補修記録隠ぺい事件」に関するプレス発表がありました。

これは、柏崎刈羽原発における点検・補修作業において、不適切な取扱いがあるとの指摘をGE(ゼネラル・エレクトリック)社から受け、調査の結果、指摘された29件のうち16件について原子炉圧力容器内のシュラウド表面に「ひび」や「ひびの兆候」が発見されたのですが、それを点検報告書に記載せず、「事実隠し」や「修理記録等の虚偽の記載」など不適切な取扱いが行われていた事件のことです。

そして9月11日、村議会でこの事件に関する決議、意見書、申入書が全会一致で可決。

9月12日には、新潟県知事、柏崎市長、刈羽村長による三者会談で、プルサーマル計画の事前了解を取り消すことに合意し、翌9月13日、事前了解の取り消しについて正式に東京電力に対して、通知がされました。


――その結論に村民の方々は納得している?

住民投票の結果が尊重されたのか、1年後に発生した「点検・補修記録隠ぺい事件」が原因となったのか、いずれにしろ「納得していない」という声は聞こえてきていません。

3択にした理由は「玉虫色の結果が出ることを望んだから」

刈羽村の担当者への取材では、3択になった理由は分からずじまいだった。
そこで、住民投票に関する論文を複数書いている、新潟大学の渡邊登教授にも話を聞いてみた。

――選択肢を「賛成」「反対」「保留」の3択にしたことには、どのような理由が考えられる?

3択にすることによって、「玉虫色の結果が出ることを望んだ」と考えられます。


――なぜ玉虫色の結果にする必要があった?

刈羽村の当時の村長はプルサーマル計画には賛成で、住民投票の実施には最初から反対していました。

住民投票の結果、「反対」が多数になる情勢に危機感を感じた村長は、選択肢に「保留」を追加することによって、票が「保留」に流れると期待したと思われます。

その結果、「反対」と「賛成」が拮抗して、計画を進めるかどうかの最終的決断が刈羽村に委ねられるという方向に持っていきたかったのでないでしょうか。
ただし、期待通りにはいかず、「保留」はわずか3.6%で、「反対」が多数(53.4%)という結果となりました。

住民投票が3択になるのは異例。
計画を進めたい側の意図が働いていると考える方が自然で、それは沖縄の県民投票も同様です。
3択にするのは、住民投票によって明確な結論を出さないための、住民投票に反対する側の方策だと思いますけどね。



「歴史は繰り返す」という言葉があるが、沖縄の県民投票はどのような結果が出るのだろうか。2月24日の投開票日に注目したい。