袋井市に住む中国籍の男子高校生に暴行を加えてケガをさせた上、車のトランク中に監禁し、浜名湖に投げ捨て溺死させた罪に問われている22歳の男について、静岡地裁浜松支部は6月13日に判決を言い渡します。

傷害・監禁・殺人の罪で起訴されているのは浜松市に住む無職の男(22)で、2024年2月、フィリピン国籍の男(当時18)と共謀し袋井市に住む中国籍の男子高校生(当時18)に暴行を加えてケガをさせた上、車のトランク内に監禁し、浜名湖に投げ捨て溺死させた罪に問われています。

これまでの裁判で、事件に至ったきっかけは知人宅で男子高校生を含む8人で酒を飲んでいた際、男子高校生が年上である共犯の男に敬語を使わずに話しかけ、注意されたにも関わらず、その後も“タメ口”で話し続けたことから共犯の男が怒りを増幅させたことだったが明らかにされました。

その後、男子高校生がその場にいた男の知人と口論になり、止めに入った女性を倒したことから共犯の男が男子高校生に暴行を加え、男も加勢するに至ったということです。

犯行は苛烈を極め、男子高校生の額や目が大きく腫れ、顔が血だらけになるなど多数回にわたる激しい暴行で、途中から昏睡に近い状態で抵抗もガードもできなくなった状態でもなお手を緩めることなく、2人がかりで一方的かつ執拗に手を下していました。

暴行は男子高校生が謝った後も続いたと見られています。

6月9日の裁判では男子高校生の母親による意見陳述が行われ、我が子の遺体と対面した時のことについて「頭が真っ白になり途方に暮れた。目の前のことが現実のものと信じられなかった」と振り返りつつ、「明るくクラスメートとも衝突したことのなかった息子がなぜ殺されなければいけなかったのか私には理解できない」と苦しい胸の内を吐露しました。

その上で、「私たち家族はこの先、心から笑えることはない。消えない傷が残った。犯人を殺してやりたい。犯人の親にも息子を失うことがどんな気持ちなのか思い知らせたい。息子が戻ってこない以上、唯一の望みは被告を死刑にして欲しい」と訴えています。

検察は「あまりに短絡的で命の尊厳を著しく軽んじた無慈悲かつ身勝手な動機で酌量すべき点は一切ない」などとして懲役18年を求刑した一方、弁護側は「主導的ではない上に重要な役割も果たしていない。強固で積極的な殺意はなく、計画的な犯行でもない。殺意のグラデーションの中では最も淡い」として懲役8年が妥当と主張しました。

結審後、来司直美 裁判長から「何か言いたいことがあったら」と問われ証言台の前に立った男は、タガログ語で「ひどいことをしてしまいごめんなさいと謝罪したい。被害者や家族に申し訳ないと思っている。取り返しのつかないことをしてしまった」と口にしています。

判決は6月13日午後3時から静岡地裁浜松支部で言い渡されます。

※追記(13日午後5時)
静岡地裁浜松支部の来司直美 裁判長は男に対して懲役17年の実刑判決を言い渡しました。

来司裁判長は「殺害方法は残酷で極めて悪質」と指摘した一方、求刑を1年下回る判決になった理由について罪を認め反省の弁を述べていることを挙げています。

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。