2024年のパリオリンピックで日本が92年ぶりにメダルを獲得した「馬術競技」。国民スポーツ大会の種目にもなっています。松江市の2人の高校生がこの種目での入賞を目指し、トレーニングを積んでいます。
鳥取県大山町にある乗馬クラブは、初心者から上級者まで気軽に乗馬を体験できるスポットとして人気です。
クラブでレッスンに励んでいるのが、高校2年の武田明日華さんと、高校3年の梶谷友里奈さん。
武田明日華さん:
きっかけは、観光でウマに乗りに来たときに楽しくて、そこからジュニアライディングクラブに入った。
梶谷友里奈さん:
元々、私の母が馬術にあこがれていて、自分では乗れないから代わりにやってみたらって言われて。
武田さんは小学5年、梶谷さんは中学1年のとき、馬術を始めました。
そんな2人が目指すのは…。
梶谷友里奈さん:
国スポがあるので、もちろん入賞したい。
国民スポーツ大会、国スポです。
2人が取り組んでいるのは、障害飛越競技。
アリーナに設置された障害物を決められた順番通りに飛び越えながら走る競技で、障害物の落下や馬が従わないなどのミスなく、早くゴールすることが求められます。
2024年の佐賀国スポでは団体9位、2人が目標としていた8位入賞に届きませんでした。
武田明日華さん:
一日一日、ウマの状態とかも違うので、その日の状態を見ながらウマと『きょうどんな感じ?』みたいにコミュニケーションをとっています。
馬術競技の少年種別には、男女の区別がありません。
武田さんは身長150センチ、梶谷さんは142センチと、女性の中でも小柄な2人にとって大きいもので、120センチある障害物を超えるにはパワーではなく馬とのコンビネーション、まさに“人馬一体”となれるかどうかがカギを握ります。
武田明日華さん:
行こうよ、わがまませんで。
パートナーのウマの気持ちをしっかり汲み取ることも大切です。
大山乗馬センター・北垣和宏さん:
そう、そこから斜めに行く、斜めに行く。すぐ駆け足。
2人を指導するのは、乗馬クラブの代表でもある北垣和宏さん。
両親が経営していたこの施設で5歳から乗馬を始めました。
鳥取県で開催された1985年の「わかとり国体」では、馬術競技では県勢初の?優勝を果たしました。
大山乗馬センター・北垣和宏さん:
人とウマが揃わないと入賞はなかなか難しい。都会の方の立派な外国産のウマと勝負するので。
競技人口だけでなく、競技用のウマも少ないため、全国レベルの大会で山陰勢が入賞するのはなかなか難しいと話します。
島根県勢は1993年の国体以来、入賞は一度もありません。
大山乗馬センター・北垣和宏さん:
ジュニアですね。育てていって将来的に馬術競技に携わってくれる人が増えればなというのが願い。
北垣さんは、レッスン料を抑えたジュニア向けのスクールも開設。
2030年の島根、2033年の鳥取での国スポに向け、武田さん、梶谷さんに続く世代の育成も始まっています。
一方で、北垣さん、武田さん、梶谷さんの成長に手ごたえを感じています。
大山乗馬センター・北垣和宏さん:
(去年の国体は)ウマも人も初めて同士で大きな競技会に出たので、ゴールを切れれば良いかなくらいで送り出したんですけど、危うく優勝しかけたので、今年は確実に入賞を狙っていけるなと思っている。
5月、岡山県で開かれた中国・四国地区の大会では、障害飛越競技で武田さんが優勝、梶谷さんが2位に入りました。
大山乗馬センター・北垣和宏さん:
どちらも競走馬あがりなんですよね。競馬を走っていたウマをリトレーニングして乗馬にしてる。
その躍進を支えるのがパートナー。
力のあるウマもそろい、島根県勢32年ぶりの国体入賞です。
武田明日華さん:
去年は色々と失敗したり未熟だったりで良い結果が残せなかったので、とりあえず満点でいい顔をして帰ってこれるように出来たらと思う。
梶谷友里奈さん:
去年はちゃんとゴール切れてないので、ウマが障害を見せて驚いたこともあるので、そこはカバー出来るようにしたいなと思う。
2人が照準を定めるのは、7月に開催される滋賀国スポの中国地区予選。
「人馬一体」で全国の舞台への挑戦権を狙います。