鳥取県東部で受け継がれている伝統の「傘踊り」が6月6日、大阪・関西万博の会場で披露されました。
1970年の大阪万博でも披露され、55年ぶりに万博会場に色鮮やかな傘の花が咲きました。

しゃんしゃんと鳴る鈴の音、踊り子たちは息を合わせて傘を振ります。

統括リーダー・下田千菜美さん:
「率直に楽しみなところがある。みなさん傘踊りのプロフェッショナルなのでしっかり仕上げたいと思います」

鳥取県東部で受け継がれている因幡の「傘踊り」。
これをアレンジして、毎年8月に披露されるのが「しゃんしゃん傘踊り」です。
4日は、本番を2日後に控え、仕上げの練習会。
10代から80代まで約50人が集まりました。
いずれも「傘踊り検定」1級以上、プロ級の腕前を持つ踊り子たちです。

その本番が、大阪・関西万博の会場で開かれた「令和の万葉フェスティバル」。
現在の年号「令和」の出典でもある国内最古の歌集「万葉集」にゆかりのある地域で、5年前から開かれています。
今回が最終回となり、フィナーレを飾る過去の開催地の郷土芸能のひとつとして、鳥取の傘踊りが披露されることになりました。

踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「ここに来られた方はこれで出ます」

踊りの指導をするのは、陸谷ヒロ子さん。
この道40年以上の大ベテランです。

踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「しゃんしゃん傘踊りは、一斉美というのが一番傘踊りの素晴らしい見せどころなので、その目標にそって頑張っていきたい」

傘踊りの魅力は、一糸乱れぬ傘の動き。
この一斉美をステージ上で披露するため、新たなフォーメーションを設定しました。
はじめはなかなか位置がつかめませんが、プロ級の踊り子たちは、短い時間で勘をつかんでいきました。

因幡地方に伝わる傘踊りは江戸時代後期、干ばつのときに花笠を持って踊った「雨乞い」踊りをもとに明治時代に考案され、約150年の歴史を持ちます。
その後、1965年に市街地を舞台に、踊り子が一斉に踊る「鳥取しゃんしゃん祭り」が始まり、鳥取の夏の風物詩になっています。

鳥取を代表する伝統芸能として、傘踊りは1970年の大阪万博でも披露され、世界に向けてその魅力が発信されました。
それから実に55年ぶりの万博の舞台です。

参加者:
「55年ぶりの万博ということで、生まれてないですけど、肌で感じにいきたい」
「15歳です。すごいプレッシャーあるけど、頑張ってできたらいい」

踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「そこ!踊り切れてないよ!」

55年ぶりの大舞台で、指導に熱が入る陸谷さん。

Qつめを見せてもらっていいですか?
踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「はい」

万博のマスコットキャラクター「ミャクミャク」と「しゃんしゃん傘」のネイルで気分を上げていました。

踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「これしてもらってから次の日から『あ、向かうんだな』って、すごい気持ちが前向きになりましたね」

作野俊介記者:
「大阪の万博で55年ぶりに鳥取の傘踊りが披露される場所は、こちらの巨大なステージです」

そして本番の6月6日、イベントの舞台は「EXPOアリーナMatsuri」。
万博会場内最大のステージです。

参加者:
「広いですね。本当に広い」
「すごいですね、言葉が出なくてすごすぎて」

踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「テンション上がる。みんな本番に強いので大丈夫だと思います」

万葉衣装に身を包んだ約400人のパレードでイベントはスタート。
万葉集の歌が詠まれたあと、各地の郷土芸能が披露されました。

出番になると、約50人の踊り子がスタンバイ。
定番の「きなんせ節」と「鳥取しゃんしゃん傘踊り」の基本踊りを披露。
華やかな傘の花が広がりました。

見物客:
「たくさんの人が鈴のなる傘を持っててしゃんしゃん鳴る音もきれいだし、きれいな傘が目いっぱい広がって圧巻でした」
「初めて見たんですけど、とても素敵な音と踊りで、とても楽しかったです」

統括リーダー・下田千菜美さん:
「感無量です。本番で一番いい踊りができてすごく良かったです」

踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「素晴らしい。しゃんしゃん傘踊りで世界に誇れる踊りだなと」

Qネイルも効いたのでは?
踊り指導・陸谷ヒロ子さん:
「とても効きました。みんなが最後一体感あってよかった。それが成功の素だったんじゃないかなと思います」

万博の大舞台で55年ぶりに咲きそろった傘の花。
世界に魅力を発信するとともに、その伝統が次の時代に受け継がれます。

TSKさんいん中央テレビ
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