66文字の悲痛な訴え

千葉県野田市で小学4年生の栗原心愛さん(10)が虐待を受けた後に死亡し、父親の栗原勇一郎容疑者(41)が逮捕された事件で、心愛さんが学校のいじめに関するアンケートに回答していた全文が明らかになった。

お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか。
(心愛さんのアンケート回答)

野田市の小学校が行ったいじめに関するアンケート調査
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千葉県に引っ越す前の沖縄県時代から、長期間に渡って母親が不在の間に父親から虐待を繰り返し受けていたとみられる心愛さん。

沖縄時代の同級生は、心愛さんから「パーでたたいてめっちゃ痛くて、いつも泣いていた」と聞いたという。また、引っ越し先の千葉県の小学校でも周囲に家庭での悩みを打ち明けていたといい、同級生は、「『なんかあったの?』って聞くと「大丈夫」って言ってて、それが口癖みたいな感じで」と心愛さんの当時の様子を話した。

そして、事件の経緯をめぐる行政側の不十分な対応も新たに分かった。
被害児童がアンケートで発した悲痛なまでのSOSが、あろうことか教育委員会から虐待の当事者である父親の手に渡っていたのだ。

栗原容疑者の怒りを鎮めるため、恐怖心から…

2017年11月、野田市の小学校で行われたいじめに関するアンケート調査に綴った「お父さんにぼう力を受けています」というメッセージ。
これをきっかけに児童相談所は心愛さんを一時保護。12月には親族宅に預けられることになり、心愛さんの一時保護は解除された。しかし、その後の対応について野田市は31日午後、驚くべき事実を明らかにした。

今村繁副市長:
一時保護について、親族一同大変憤慨しているということで、父(栗原容疑者)はアンケートの存在を最初から把握していたようであって、(アンケートの)閲覧および写しの提出を求められて、アンケートの写しを渡したということです。

野田市・今村繁副市長

一時保護が解除された翌月の2018年1月、一時保護のきっかけとなった心愛さんのアンケート結果のコピーを「本人からの同意書がある」と話す栗原容疑者に渡したというのだ。
市側は、一度は断ったとしているが、訴訟をちらつかせるなどした栗原容疑者の求めに屈したという。

今村繁副市長:
学校の先生、教育委員会の職員共、父(栗原容疑者)の威圧的で執拗な態度に恐怖心を抱いた。(栗原容疑者の)怒りを鎮めるために、恐怖心から(アンケートを)出してしまった。子どもが虐待と感じていることを知ってほしかった。今となれば、配慮を著しく欠いており、心愛さんに申し訳なく思っています。

親に言えないSOSが親自身に伝わり、事態を悪化させた可能性は決して否定できない。
コピーを受け取った3日後、栗原容疑者は心愛さんを別の小学校に転校させている。

児童相談所に19年間勤務した山脇由貴子さんは、「児童相談所が丸投げしすぎたのが1つの問題。学校側も親側に寄り添いすぎたという問題も。本当は、子どもを守ることが学校の優先事項なのに、(子どもの)安全を守るということが後回しになってしまった。『それをやる結果、悲惨な結果になる』と想像できなかったのが理解できない」と指摘する。 

野田市は、経緯についてさらに調査を進め、実態を明らかにするとしている。

(「プライムニュース イブニング」1月31日放送分より)