先週発表されたプロ野球月間MVP。
パ・リーグ打者部門でオリックスの太田椋選手が初受賞しました。
3月・4月の打率は4割1分1厘で12球団トップ。その他打撃成績でも上位にランクインするなど、開幕から絶好調の24歳です。
■目標に掲げた『無欲』という言葉に今シーズン活躍の秘密
ことし1月。ファンの前で今シーズンの目標を語った太田選手。
【太田椋選手】「怪我をせずに優勝して、そしてベストナインとって、オールスター出ます。無欲の心で!」
多くの目標をかかげる中、最後につづったのは“無欲”という言葉。
【太田椋選手】「欲しがりすぎない。自分がやるべきことをしっかりやった結果どうなるかっていうのが大事だと思うので、そこまでの過程を大事にしたいなと思って書きました」
この言葉に今シーズンの活躍の秘密がありました。
■オリックスで打撃投手父・暁さんの背中を追い、野球を始めた太田選手
元近鉄の選手で、現在オリックスで打撃投手を務める父・暁さんの背中を追い、8歳で野球を始めた太田選手。
父のようにプロ野球選手になりたい。その思いで野球に打ち込み、名門・天理高校へ進学しました。
当時監督を務めていた中村監督が感じた第一印象は…
【中村良二天理高校元監督】「大人しい印象です。申し訳ないですけどプロ野球選手になるとは思ってないような選手で、本当に野球選手かなっていうぐらい細かったですよ」
■高校時代の監督からの教えは「派手なプレーはやめなさい」
同世代には大阪桐蔭の春夏連覇に貢献した根尾昴選手や藤原恭大選手、そして走攻守3拍子揃った報徳学園の小園海斗選手など、華々しく活躍する選手たちがいました。
そんな選手たちに追いつきたい、追い越したい。そのために、地道に作り上げてきた
プレースタイルがありました。
【中村良二天理高校元監督】「選手には守備力をあげよう、時間があったら守備しなさい。派手なプレーはやめなさいっていう、きっちりプレーしてセーフになったら内野安打でいいじゃないっていう」
【太田椋選手】「ピッチャーが打ち取った打球をアウトにするって言うのがやっぱり一番やと思うので。確実にアウトに取るっていう高校の時からそういう教えというか、そこが1番の原点じゃないですけど、自分の体に染み付いてるかなと思います」
堅実な守備に加え、勝負強さが光るバッティングにも磨きがかかり、プロ注目の選手に成長。
■入団後は度重なるけがで1年通して野球ができたシーズンはなし
そしてついに父と同じ、オリックスへ入団。夢がかなった瞬間でした。
【太田椋選手】「早く1軍に上がって父の球を打ちたい」
しかし…度重なるけが。
まともに1年間野球ができたシーズンはありませんでした。
【太田椋選手】「やっぱり怪我している時は面白くないし、何してんやろと思いながら練習することもありましたね」
■けがで試合に出られない期間もトレーニング積み重ねる
思うように野球ができない日々。それでも太田選手は変わりませんでした。
【太田椋選手】「地道にトレーニングであったりとか、けがした時にしかできないこともあると思うので、しっかり将来の自分というか、期待するじゃないですけど、もっともっとレベルアップしたいなと思ってやっていました」
けがで試合に出られない期間、トレーニングを積み重ね、1軍で活躍するための体を作り上げました。
■「ヒットを欲しがりすぎない。しっかり相手ピッチャーと対戦」
そして迎えた今シーズン。太田選手が大切にしてきた、欲張らない堅実さが打撃好調の要因にもなっていました。
【太田椋選手】「狙い球をしっかり決めて、その狙った球をしっかり弾けてるかなっていう感じですね。甘い球を一球で仕留める確率が上がってるかなと思いますね。打席でもヒットを欲しがりすぎないであったりとか、自分と戦うんじゃなくてしっかり相手ピッチャーと対戦してるっていう感覚が強いです」
地に足をつけ、欲張らず、やるべきことをしっかりやる。そうやってこつこつ続けてきたことが結果として表れ始めた今シーズン。これからも“無欲”の心で1つ1つ積み重ねていきます。
【太田椋選手】「どれだけ活躍しても、やるべきことをしっかりやるっていうのが本当に大事だと思うので、そこは本当に調子に乗らずに、自分がやってきたこと、やることをしっかりやりたいなと思います」
【橋本和花子アナウンサー】「太田選手に打率が4割超えているときに話を聞くと、打球の質がはまっていたそうです。『理想の低くて伸びるボールが練習の時から打てていることに手ごたえを感じている』と話していました」(12日時点で太田選手の打率は3割4分8厘)
オリックスは11日に首位から2位になってしまいましたが、巻き返しに向けて太田選手の爆発力に期待です。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年5月12日放送)