ほぼ真っ暗闇の中に響く人々の声。
大規模な停電が起き、非常事態宣言が出たスペインの首都マドリードの駅で撮影された映像です。

停電は28日昼過ぎにスペイン全土やポルトガルなどで発生。
影響はスペインを訪れている日本人やアスリートにも及んでいます。

停電発生後の現地の映像を見ると、道路は至る所で渋滞し、電車などの公共交通機関もまひ、駅や空港は復旧を待つ人であふれかえり、バス停やタクシー乗り場には長い列ができていました。

飲食店の中でも、ガスで調理する店は営業を続けていますが、停電により店内のモニターやレジは機能していません。

多くのスーパーや商店が営業を停止する中、非常用電源などで営業を続けるスーパーには食料品などを求め人が殺到していました。

利用客は「みんな不安でどうなるか分からないから、念のため必要以上の物を買っている」「賞味期限が切れない物を買っています。缶詰など長持ちする物を念のため」と話しました。

しかし、携帯電話やインターネットが使えなくなり、電子決済ができなくなるという影響も。

頼みのATMも作動していないため、現金を持っていなかった人からは「何もできない、何も買えない。ガソリンスタンドも店も閉まっている。ATMでお金も引き出せない、どうしようもない。まるで戦時中だ」と嘆きの声が聞かれました。

現地では日本のアスリートにも影響が出ています。

内島萌夏選手が出場しているテニスのマドリード・オープンは、この日残っていた試合が中止となり、内島選手の試合も延期となりました。

夕暮れの街を捉えた映像では、ほとんどの建物に電気がついていません。
夜の道路にも街灯の明かりはなく、信号機も復旧していないため警察官らが交通整理。

電力はその後、徐々に復旧。
スペインの電力会社は、現地時間の午前7時時点で全国の99.95%の電力供給が回復したと発表しました。

スペイン・バルセロナ在住の五味さんは、停電発生時の状況を「居住区自体(電気が)復旧しているようで、通信も問題なくできている。こっちの人は辛いものを食べる習慣がない、得意でないので、辛い味付けの缶詰は買うことができた、何食分か。情報が入ってこないという状態が1番厳しかったですね」と話します。

スペインのサンチェス首相は、29日中に全面復旧を目指す考えを表明。

しかし、停電の原因はいまだ明らかになっていません。