ベトナム会談の見通し

2回目の米朝首脳会談が今月27、28日の二日間の日程で、ベトナムで開催されることが発表された。トランプ大統領自身が「まだ多くの作業が残っている」と指摘したように、開催まで1カ月を切る中、双方の駆け引きは再び激化している。

北は、本当に非核化に応じるのか?
朝鮮戦争「終戦宣言」の現実味は?
拉致問題への影響は?
元AP通信平壌支局長で、北朝鮮情勢に詳しいアメリカのシンクタンク「ウィルソン・センター」のジーン・リー研究員(韓国歴史・公共政策センター長)に見通しを聞いた。

北の具体的な動きとアメリカの譲歩が必要

「ウィルソン・センター」 ジーン・リー研究員
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ジーン・リー研究員:
米朝首脳会談の成功は、ビーガン北朝鮮担当特別代表が今週平壌でどの程度、目的を達成できるかにかかっている。我々はその結果を注視する必要がある。

平壌で行われているこの会談は非常に重要だ。前回の米朝首脳会談での曖昧な合意以上のものにするために、米朝双方がどのような措置をとり、譲歩する意思があるのかを明確にするものだからだ。北朝鮮側の具体的な動きと、アメリカ側からの譲歩や約束が必要だ。

トランプは簡単に得られる勝利を求めている

ビーガン北朝鮮担当特別代表

ジーン・リー研究員:
トランプ大統領の性格について留意するべきだ。
彼は全く予測不能で、これまでの大統領とは極めて異なるタイプの大統領だ。彼が国内で多くの問題に対処し、彼が非常にイラついているという背景について考えなければならない。だから、彼は簡単に得られる勝利を求めている。彼が考えているのは、簡単に得られる勝利だ。

ビーガン特別代表が今週平壌で行う会談は非常に重要かつ非常に難しいものになるだろう。この平壌での会談が成功しない限り、大統領は首脳会談をおこなうべきではない。なぜなら、二回目の首脳会談では、一回目の首脳会談よりも多くの約束や合意、ロードマップを得ることが非常に重要だからだ。

特使として訪米した金英哲朝鮮労働党副委員長がトランプ大統領からの手紙を持ち帰った時の金正恩の写真、そして協議を伝えるニュースを見ると、金正恩はとても満足そうだった。そのことから、トランプ大統領は北朝鮮が望むことについて約束をしたのではないかと思う。北朝鮮からすれば、北朝鮮側が成功すると明らかに信じている。つまり、例えば、トランプ大統領が終戦宣言について約束をしたかもしれないということだ。決めるのは簡単かもしれないが、その具体的な措置を決めるのは難しいだろう。

核を放棄することは、統治の終わりを意味する

2018年6月 シンガポール

ジーン・リー研究員:
金正恩が核兵器を手放すとは考え難い。核兵器を保持するため、あらゆることをするだろうと思う。しかし、我々は核計画を解体するために具体的な措置をとらなければならない。ゴールは、金正恩が核の完全な放棄に対し消極的になることを受け入れながら、核計画を封じ込め、凍結し、縮小することだ。

彼の考えでは、核を完全に放棄するということは、彼の統治の終わりを意味する。だから、彼が消極的になるだろうと認識し、理解しなければならない。我々が何もしないというわけではない。この地域と世界の安全のために何もしないという選択肢はない。だから、我々は核計画を凍結、封じ込め、解体する方法を見つける努力をし続けなければならない。

(首脳会談の延期や変更について)前回の首脳会談と同じように、変わる可能性があるということは常に考えなければならない。平壌での会談の結果によって、前進するか予想できるだろう。

日本はこの議論に参加すべき

ジーン・リー研究員:
安倍首相がもし金正恩を交渉の場につかせたいのなら、拉致問題を前提条件やレッドライン(超えてはならない一線)にしないという計算が必要かもしれない。それは、政権がなすべき必要な計算であり、それが北朝鮮との取引方法を理解するということだ。

日本が蚊帳の外に置かれるのは容易に考えうる。韓国と北朝鮮は日本に対して共通の敵意を持っているので、北朝鮮はそれを利用しようとしている。日本が入るかどうかは、アメリカと日本次第だ。日本は、挑発行為があれば、標的になり射程内に入る。だから、この議論に参加する必要がある。

今、日本が外されている中で、このプロセスのいずれかの時点でアメリカと韓国が、日本をともに協議すべき同盟国だと認識することを強く望んでいる。いずれそうなると考えるが、現時点では日本は交渉の中心にはいないのだ。

【執筆:FNN ワシントン支局 瀬島隆太郎】

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