「改元」に便乗した詐欺の手口
平成もあとわずかとなる中、4月30日の「天皇陛下の退位」と5月1日の「改元」に便乗した商法や詐欺が相次いで報告されていることをご存じだろうか。
それぞれどのような手口なのか見てみると、まず「改元」に便乗した詐欺は、金融庁によると、全国銀行協会を装った封書を送りつけ、「元号の改正による銀行法の改正に伴い、全金融機関のキャッシュカードを不正操作防止用キャッシュカードへ変更する手続が必要となります。同封の『キャッシュカード変更申込書』に取引銀行、口座番号、暗証番号を記載し、現在お使いのカードを返送してください」などと指示し、キャッシュカードをだまし取ろうとする手口。
金融庁は「全国銀行協会や銀行員が暗証番号などを尋ねることは一切ありません」として、少しでも不審に思ったら、警察や金融庁に相談するよう呼びかけている。

「退位」に便乗した商法の手口
「天皇陛下の退位」に便乗した商法については、注意を呼び掛けている「国民生活センター」の担当者に話を聞いた。
――どのような手口が報告されている?
たとえば、電話が掛かってきて、社名をはっきり言わず、「退位される天皇陛下の写真集は今しか買えない」「今、買わないのはおかしくないですか」と執拗に勧誘をしてきた。
そのときは断ったのだが、また掛かってきたら、どう対処すればいいのか、という相談が寄せられています。
こちらは、80代女性からの相談です。
その他には、電話で「天皇陛下が退位することになったので写真集を買ってほしい」と言われた。値段は約4万円。
記念になるかと思い、購入すると伝えたところ、後で商品を発送すると言われた。
電話を切った後、高額であり、必要のないものだと思い、キャンセルしたいと思ったけれど、業者の名前や電話番号は分からない。どうしたらいいのか、という相談です。
こちらも80代の女性からの相談です。

掛け軸や仏像を買わせようとする手口も
――買わせようとするのは写真集だけ?
写真集以外では、掛け軸や仏像が報告されています。
――仏像というのはよく意味が分かりませんが?
電話では「退位に関連した仏像」と言ってきたようです。
――こうした相談はいつ頃から寄せられている?
退位が発表されて以降です。
――これまでに何件ぐらい寄せられている?
件数は現段階では把握していません。
電話が掛かってきたときの対処法
――こうした電話が掛かってきたとき、どのように対処すればいい?
「いらない」「必要ない」と言って、きっぱりと断ってください。
また、こういった詐欺は代引きで商品が送られてくることが多いのですが、仮に商品が送られてきたとしても、受け取りを拒否してください。
代引きで料金を払ってしまうと、その後、業者と連絡が取れず、泣き寝入りになることがありますので、ご注意ください。
――改元が行われた昭和64年にも同じような詐欺は報告された?
そういった詐欺の事例は把握できていません。
高齢者が狙われているとみられる「退位」や「改元」の便乗商法。被害に遭わないためにもこうした実態を知っておくことは重要だ。