センバツ高校野球、春の甲子園が大詰めを迎えていますが、一方で『科学の甲子園』という大会があります。全国の高校生が科学知識と応用力を競う大会で、3月21日から24日にかけて茨城県で開かれました。
この大会に、鳥取県代表として4年連続で出場したのが、米子東高校。メンバーは全員、他の部活動に所属。”二刀流”で大会に挑んでいました。

3月17日、米子東高校。

生徒:
このくらい回転してたっけ?

放課後の教室で何かを話し合う生徒たち。見つめる先にあるのは…「謎のマシーン」です。

生徒:
回転比率…。回っていないゴムが強すぎる。

鳥取県代表として出場する「科学の甲子園」に向け、課題に挑んでいました。

「科学の甲子園」は、2025年で14回目。次世代の科学技術を担う人材の育成を目的に開かれています。全国717校の中から予選を勝ち抜いた代表が、理科・数学などの知識と応用力を駆使して課題の解決に挑みます。

米子東高校キャプテン・景山楓さん:
別に変わらない。幅。静止摩擦って…。

米子東高校・松井鵬衡さん:
太さ、太さ。巻き数の回転数の違いが…。

実技競技で使う「フライホイールカー」の製作。性能を向上させるため、物理の知識をフル活用、いかにも科学好きのやりとりですが、実は…。

科学の甲子園に出場する8人のメンバーは全員が陸上部に所属。”二刀流”で全国切符を勝ち取りました。

米子東高校・河田陸玖さん:
あと3週間くらいで大会があるので、ちょっとずつ段階上げて練習の強度も強めていて…去年と違って忙しくて…。

陸上も大会前ということで練習に明け暮れる毎日ですが、今の合言葉は…。

米子東高校メンバー:
陸上部だけど科学の甲子園頑張るぞー、おー!

この日は「フライホイールカー」担当のメンバーが集まり、調整を進めます。競技では、事前に伝えられた一定の条件のコースを、当日発表される規定の秒数で完走できるよう、現場で調整を加えます。

米子東高校キャプテン・景山楓さん:
ここはゴムと一緒に回転するので、ここが1回転する間に大体10回転ぐらいするので、この速さに使われるはずの力が、この回転に使われるので、なるべくゆっくり走れるっていう設定になっています。

ちょっと難しいので解説すると…。
車が坂道を下る時に車輪が回転し、運動エネルギーが発生。
この運動エネルギーでフライホイールを回転させ、エネルギーを蓄えます。
平坦な所では蓄えたエネルギーで車輪が回転し、車が進みます。
エネルギーをどのように蓄え、走行スピードをどう調整するかなど、アイデアの見せどころです。

何やら難しい数式を書き始めたキャプテン。

景山颯さん:
mgが1キロ。質量mのものをおいたときに加わる力がmgになって、それに高さをかけるとエネルギーの量になる。

導き出した答えは…。

米子東高校キャプテン・景山楓さん:
タイヤが1回転する間に、フライホイールが9回転するっていう値になって…。

しかし実際にやってみると…。
計算通りにはいきません…。

米子東高校キャプテン・景山楓さん:
フライホイール1枚でもいいかもしれない。速度もう少し出したとしても摩擦でぎりぎりで下がる。

米子東高校・小椋悠矢さん:
ゴールまでたどり着いてないので重さを増やします…。

米子東高校メンバー:
あ、1000。

米子東高校メンバー:
え、うそでしょ。

米子東高校メンバー:
重た…。

米子東高校メンバー:
だけん1枚おろすしかないわ。

車体の重さの上限は1キロ、陸上で培った粘り強さで試行錯誤を重ねます。ヒントを探ろうと以前の動画も参考にしますが…。

米子東高校・松井鵬衡さん:
これは、前に別の材料でやった時に出来たやつ。もう1個のガタガタの道を越えるためには、あのタイヤじゃ適応できないかなって、形を変えたらうまくいかないなって。

景山颯さん:
ギリギリまで粘ります。

松井鵬衡さん
目標は1桁順位を、総合で獲れたらいいなと皆でいっています。

この後も調整を重ね、会場の茨城県へ向かいました。

大会当日…8人全員のメンバーが、それぞれ筆記や実験に挑戦、ベストを尽くしました。そして会場には、努力の結晶の「フライホイールカー」。車体外側に重量を寄せて、車輪を小型化。さらに進化を遂げたようです。
改良が功を奏し、「設定タイム25秒」と1秒違いの「24秒」で走り切りました。
結果は総合9位。学校史上最高の成績で、目標のトップ10入りを果たしました。

「科学の甲子園」で活躍したメンバーたち。次はシーズンを迎える「トラック」と「フィールド」で結果を残したいと意気込んでいます。

TSKさんいん中央テレビ
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