京都にある創業90年の老舗米店「まつもと米穀」ですが、地元で人気だというこのコメ店である問題が起きたんです。
それが、「米屋ですが米ありません。ごめんなさい」と大きな貼り紙を掲げ、一時閉店に追い込まれる事態となったんです。
消費者はもちろんのこと、飲食店なども困ってるのが分かりますが、中間業者も今困っています。
一体何が起きているのか取材しました。
政府が2回目に放出を予定している備蓄米の入札が26日から始まった中、1回目に放出された備蓄米について、JA全農系列の全農パールライスが、すでに首都圏の一部店舗に出荷を開始していることが分かりました。
ブレンド米などとして、店頭に並び始めているということです。
別の大手卸業者は27日にも出荷を始め、早ければ28日に店に並ぶとしています。
そんな中、コメが底をつき一時閉店に追い込まれた店があります。
店先には「米屋ですが米ありません。良質な米が安定供給できるまで店を閉めます。ごめんなさい」という貼り紙が貼られていました。
京都・舞鶴市で90年以上続く老舗米店「まつもと米穀」。
年間300トンのコメを取り扱ってきましたが、必要な量を仕入れることができなくなり、一時閉店を余儀なくされたのです。
閉店に伴い、苦渋の決断も。
従業員5人を解雇しました。
まつもと米穀(3代目)・松本泰社長:
売るものがないのはどうしようもない。こんなことが起こるなんて考えられない。悔しい気持ち。本来こちらが約束していたコメが他に流れてしまった。
これまで、このコメ店は近隣の農家を中心に直接米を購入していたといいます。
しかし、2024年秋から農家が取引のなかった業者にコメを売るようになり、仕入れができなくなりました。
社長は、政府の備蓄米が調達できないか、関係する業者に打診しましたが、これもめどが立たず。
まつもと米穀(3代目)・松本泰社長:
備蓄米に関しては、放出を決めるタイミングが遅すぎたのではないかと思う。
コメ不足の背景にあるという転売業者。
佐賀県の農家では1月、突然見知らぬ人物が現れたといいます。
佐賀県内の農家:
ブーンと車で来た。ぱっと見“廃品回収屋”のような、この人誰だ?という人が「コメを買いますけど」と軽トラックで来た。JAには失礼かもしれないが、外の業者に流した方が収入になるのでは?という感じになる。
この農家は、業者からJAよりも数千円高い、60kg2万円を超える金額を提示されましたが最終的に売りませんでした。
この状況に専門家は…。
農業ジャーナリスト・松平尚也氏:
農家側もコメの生産コストが上がり、高い値段につられてコメを売ってしまう状況がある。もともと付き合いのあった小売店を無視して売らざるを得ないほどの生産環境自体も問題。コメの流通を巡る混乱の中で、しわ寄せがコメ店にまでいっているのが問題。
一方、コメ不足は日本の酒造りにも大打撃を与えています。
山形・南陽市にある酒蔵「東の麓酒造」。
この酒蔵で高い人気を誇るブランド米を使用した純米吟醸酒「つや姫なんどでも」。
仕込みに使うつや姫は、年間で約9トンに及びますが、価格が7割ほども上がり、買い付けようにも高すぎて諦めざるを得ないといいます。
東の麓酒造・新藤栄一常務:
(つや姫は)1俵(60kg)あたり1万5000円ぐらい値上がりしていた。このまま(米の)高値が続くと、すべての商品を値上げせざるを得なくなる。
専門家は、流通の変化が現場に混乱を招いていると指摘します。
農業ジャーナリスト・松平尚也氏:
1990年代後半から低米価、お米が安い状況が続いていまして、それがいきなり状況が変わり、関係者が非常に苦労していると思う。2024年から農協にもコメが集まっていない状況で、まだ田植えも終わっていない状況で「価格を上げる」と言っていて、そういった動きが全国に波及すると言われている。そうなると(2025年の)秋以降、コメの価格も高止まりする見通し。